英国でクリスマスを祝う雰囲気が、一気に吹き飛んだ。英政府は20日からロンドンを含む英南東部でロックダウン(都市封鎖)を導入。新型コロナウイルスの変異種が広がっており、感染拡大を加速させていることを明らかにした。

■シリーズ「第2波」のラインアップ(予定)
第1回:欧州、感染者が第1波の約4倍で「半ロックダウン 」へ
第2回:英国が第1波より感染者激増も死者数89%減のワケ
第3回:フランス、「ロックダウンの罠」でコロナ死者急増の恐れ
第4回:英病院の看護師長「もうコロナの戦場には戻りたくない」
第5回:イタリアとスペインのGDP1割縮小が示す欧州の構造問題
第6回:コロナ対策の優等生ドイツでも感染急拡大を止められず
第7回:またもノーガード戦法?スウェーデン医師に聞く最新状況
第8回:スウェーデン学者が警告「厳しい規制が次の感染爆発を起こす」
第9回:マスクの次は何? 欧州で広がる生活習慣の「アジア化」
第10回:新型コロナ変異種とブレグジットで英国の孤立深まる

20日深夜から英国とフランスを結ぶドーバー海峡でトラックの往来が制限され、ドーバー港に向かう道ではトラックが待機を強いられた(写真:ロイター/アフロ)

 英国で感染が広がる新型コロナウイルスの変異種に、世界が激しく反応した。

 英国では9月から新型コロナの変異種が見つかり、11月にはロンドンで確認された感染のうち4分の1がこの変異種で、12月中旬にはそれが3分の2にのぼったという。ジョンソン英首相は「古い型よりも最大70%感染力が高いとみられる」と語り、20日にロンドンを含む英南東部で外出制限など事実上のロックダウン措置を導入した。

 変異種は既に多く存在するといわれているが、英国でまん延する変異種は感染力が強いため、各国は警戒感を高めている。12月22日朝時点で、フランスやドイツなど欧州各国のほか、インドやロシアなど40カ国以上が英国からの渡航を禁止した。変異種については解明されていない点が多いため、各国はとりあえず英国からの渡航を禁止するという措置を取っているようだ。

 また、20日深夜から英仏を結ぶドーバー海峡でトラックの往来が制限され、英ドーバー港の近くでは1000台超のトラックが滞留している。このルートは英国全体の物流の約2割を占め、生鮮食品の供給に影響が及ぶ懸念から、一部スーパーでは商品の買い占めが起き始めた。ジョンソン首相は21日に「仏政府と打開策を協議している」と話した。

 英国で広がる変異種は既に、オランダやデンマーク、イタリアなどの国で見つかっている。南アフリカでも変異種が広がっており、ドイツとスイスは21日、南アフリカからの渡航を禁止した。

 世界保健機関(WHO)は各国に冷静な対応を呼びかけている。緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は21日の記者会見で、「今の段階で、変異種が従来より重い症状を引き起こすとの証拠はない。ワクチンの価値は変わっていない」と語った。

続きを読む 2/2 ロンドンの病院は急速に緊迫

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この記事はシリーズ「大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。