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 ドイツが新型コロナウイルス感染拡大の第2波に苦しんでいる。第1波では検査態勢の拡充や死者数の少なさからコロナ対策の「優等生」と言われ、欧州各国がドイツの取り組みを参考にしようとした。9月までは感染拡大を抑制し、欧州の中で「さすがドイツ!」という雰囲気があった。

 ところが、10月から感染拡大が止まらなくなり、メルケル首相は11月2日に飲食店や娯楽施設を閉鎖する部分的なロックダウンを導入。その後も、1日当たりの新規感染者は1万~2万人で推移し、死者数も増えていることから、今や欧州の中でドイツを見習うという雰囲気はなくなった。

 11月下旬には、英国とフランスの政府が感染者の減少傾向が見られるため、12月から段階的に規制を緩和することを決めた。フランスのマクロン大統領は、「第2波のピークは過ぎたようだ」と語った。

 その一方、メルケル首相は11月25日、現状の部分的なロックダウンを少なくとも12月20日まで延長することを発表し、行動制限を強いられる国民の反発が強まっている。今回は、もはやコロナ対策の優等生ではなくなったドイツの現状と課題をお伝えする。

■シリーズ「第2波」のラインアップ(予定)
第1回:欧州、感染者が第1波の約4倍で「半ロックダウン」へ
第2回:英国が第1波より感染者激増も死者数89%減のワケ
第3回:フランス、「ロックダウンの罠」でコロナ死者急増の恐れ
第4回:英病院の看護師長「もうコロナの戦場には戻りたくない」
第5回:イタリアとスペインのGDP1割縮小が示す欧州の構造問題
第6回:コロナ対策の優等生ドイツでも感染急拡大を止められず
第7回:感染者急増のスウェーデン、現地医師に聞く
第8回:スウェーデン教授に聞く、ロックダウン拒否の理由
第9回:増える土足厳禁の家、欧州で変わる生活習慣
第10回:冬の外出制限でメンタルヘルス問題は?

11月25日、ドイツのメルケル首相は12月20日までの規制延長を発表した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 「ダンケ!メルケル」ーー。9月末までドイツではある地図を示し、SNS(投稿サイト)などで「ドイツの母」と慕われるメルケル首相をたたえる声があった。それは、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が14日間の各国10万人当たりの新規感染者数を示した色分けの地図だ。

 9月20日時点では、スペイン、フランス、英国、ベルギー、チェコで感染者が120人を超え、濃い茶色になっていた。それに対して、ドイツは20人以下の地域もあり、薄い茶色が国土を覆っていた。その後、イタリアでも感染者が増え、ドイツは欧州の中で突出して感染者が少ない時期があった。

欧州疾病予防管理センター(ECDC)は14日間の各国10万人当たりの新規感染者数を示す地図を公表している。上の地図は9月20日までの14日間。ドイツは9月末まで感染者数が少なかったが、10月から急増した

 ところが、10月からドイツでも感染者が増え続け、10万人当たりの感染者は100人を超え、他の国とそれほど変わらない状況になった。そこでドイツ政府は11月2日から飲食店や娯楽施設などを閉鎖する部分的なロックダウンを導入。メルケル首相は「今厳しい規制下で過ごせば、12月はある程度の自由を享受できるようになるかもしれない」と語った。

ドイツの第2波における1日当たりの新規感染者数は1万〜2万人で、第1波を大幅に上回っている

 その後も1日当たりの新規感染者数は1万〜2万人の間を行ったり来たりで、希望的な観測は打ち消されてしまう。メルケル首相は11月25日、現状の部分的なロックダウンを12月20日まで延長し、商店での人数制限など一部規制を強化することを発表した。英国やフランスは12月から規制を段階的に緩和するため、今の欧州ではドイツの苦境が鮮明になっている状況だ。

 第1波のときから検査の徹底を図っていたドイツは、他の国に比べると感染者を捕捉できていた可能性が高い。その後も検査能力を増やしているが、他の国より実際の感染者数の推移をより反映していると言えそうだ。死者数は11月25日に410人と過去最多を更新し、他の欧州主要国と同じような水準になってしまった。