新型コロナウイルス感染の第1波で欧州の震源地になったイタリアとスペインが、第2波でも苦しんでいる。再び感染者が急増し、夜間の外出禁止や移動制限など厳しい規制を導入した。

 経済情勢も厳しい。2020年の国内総生産(GDP)は前年に比べスペインが12.4%減、イタリアが9.9%減で、約1割縮小する見通しだ。欧州連合(EU)加盟国の中では1番と2番の落ち込み幅である。

 なぜ、スペインとイタリアはコロナ禍で、他国に比べて経済が大きなダメージを受けるのか。両国の苦境は、欧州の構造問題を示している。

■シリーズ「第2波」のラインアップ(予定)
第1回:欧州、感染者が第1波の約4倍で「半ロックダウン 」へ
第2回:英国が第1波より感染者激増も死者数89%減のワケ
第3回:フランス、「ロックダウンの罠」でコロナ死者急増の恐れ
第4回:英病院の看護師長「もうコロナの戦場には戻りたくない」
第5回:イタリアとスペインのGDP1割縮小が示す欧州の構造問題
第6回:ドイツも感染者急増、医療崩壊は起きないのか
第7回:スウェーデンの独自路線は奏功したのか
第8回:スウェーデンの専門家が語るロックダウンの弊害

新型コロナウイルスの感染拡大によりイタリアでは景気悪化による収入減や失業に直面する市民が増え、厳しい規制に対する抗議デモが目立つ(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナ感染の第1波で短期間で死者が急増し、長く厳しい都市封鎖(ロックダウン)に苦しんだイタリアとスペイン。第2波では異なる感染拡大の経緯をたどった。

 欧州の中で最も早く感染が再拡大したのがスペインだ。6月21日にスペイン政府は非常事態宣言を解除。サンチェス首相はウイルスへの「最初の勝利」を宣言し、観光業を含む経済の再開を急いだ。

 しかし、7月中旬には早くも感染が再拡大。7月26日には英国がスペインからの入国者に対して2週間の自主隔離を課した。8月以降も感染拡大が止まらず、スペイン政府は10月2日夜からマドリードと周辺の9つの町に新たな規制を導入。当該地区に住む人々は通勤や通学など必要不可欠な事情がない限り地区外への移動が禁止され、市境に配備された警察官が取り締まりを行うことになった。

 さらにスペイン政府は25日、非常事態宣言を再発令し、21年5月9日まで継続すると発表した。各地方自治政府に対し、市民の夜間外出や地域間の往来を禁止するほか、集会の人数を6人以下に抑えたり、局地的なロックダウンを実施したりする権限を与えた。

 一方、イタリアでは9月頃まで感染拡大を抑え込んでいた。イタリア政府はロックダウンを解除したものの、非常事態宣言は解除せず、8月にはナイトクラブの営業を禁止するなど硬軟を織り交ぜた対策を欧州メディアは称賛していた。

 しかし、イタリアも第2波の到来を防ぐことはできなかった。10月から感染者が急増。現地では寒い日が増え室内で密になる機会が増えたことや、学校再開などが原因として挙げられている。イタリア政府は26日に更なる規制を強化。飲食店の営業を午後6時までとし、映画館やプール、ジムなどの閉鎖を決めた。さらに11月6日からは全土で夜間の外出を禁止したほか、一部の州では移動制限を導入した。

スペインとイタリアの10万人当たりの新型コロナ新規感染者が1日で400人を超え、欧州平均を上回っている 注:欧州疾病予防管理センターがまとめた新規感染者数のデータを基に作成

 スペインとイタリアでは、感染者の絶対数が多いだけでない。上のデータが示すように、11月初旬には10万人当たりの新規感染者が1日で400人を超え、欧州平均を上回っている。1日当たりの死者数は第1波のピーク時に迫ってきており、規制を厳しくせざるを得ない状況だ。

 両国では厳しい規制に対する抗議デモが起きている。第1波の際は死者の急増などで緊迫感が高まり、多くの人が規制に従った。しかし、コロナ対策が長期化し、飲食店の閉鎖などで収入減少や失業の憂き目に遭う人が増え、第2波では抗議のデモが増えている。

続きを読む 2/3 日立製作所のイタリア工場は堅調

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