結局、画期的な内容では合意できないかもしれない──。英グラスゴーで開催されている第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、そんな疑念が強まっている。各国は2050年~70年の温暖化ガス排出の実質ゼロ(カーボンニュートラル)を掲げているものの、より現実的な30年など近い時点での目標や具体論に踏み込むことには消極的だ。これまでの気候変動問題は先進国が引き起こしており、これから成長する途上国にしてみれば、経済的な制約は不平等だという意見は根強い。

 COPが期待外れに終わるのは、初めてではない。恐らくCOP史上、最も落胆されたのは09年にデンマーク首都のコペンハーゲンで開催されたCOP15だ。先進国と途上国で世界共通の目標を設定する会議と位置付けられ、終盤に当時のオバマ米大統領やメルケル独首相などが膝詰めで議論したものの、中国など途上国の反対で交渉は決裂した。会期が延長され、筆者はコペンハーゲンの会場に徹夜で待機していたが、交渉決裂の一報を受け、会場全体に徒労感が広がったことを覚えている。

 だが、地元デンマークのエネルギー会社、オーステッドの受け止め方は違った。洋上風力最大手、オーステッド幹部が語る「黒から緑」への大転換で紹介したように、議論を通じて再生可能エネルギーの必要性を強く認識し、COP15が事業転換を図る転機となっていた。

 それ以降、オーステッドは洋上風力発電の産業化を進めてきた。特にメーカーと共に、洋上風力発電機の大型化に注力し、発電コストを大幅に引き下げた。欧州で産業化の手応えをつかんだオーステッドは今、世界展開を加速している。前回に引き続きマルティン・ノイベルト副最高経営責任者(CEO)に、今後の産業の見通しや、日本市場への期待を聞いた。

英国のアイリッシュ海に設置された洋上風力発電機
英国のアイリッシュ海に設置された洋上風力発電機

風力発電機は大型化のイノベーションがあり、10年前に比べ発電機の出力が3倍近くになりました。直近では羽根の直径が200メートル近い風力発電機も開発されています。将来的に風力発電機の大型化はどうなると考えていますか。

ノイベルト氏:端的にお答えするなら、技術開発は続いていくと予測しています。発電機だけでなく、その他のメジャーな部品すべてにおいてです。発電機はとても目につきやすいので例えとしてよく使われます。ただそれ以外にも、ケーブルや変電所、基盤のコンセプトなどで、多くの進展があります。

 私たちが2009年に産業規模を拡大した際は、3メガワット(MW)の発電機を扱っていました。その発電機は107メートルの羽根の直径がありましたが、シーメンスはそれを120メートルのものに拡張しました。それが、私たちが500台購入した発電機です。

 12年には、6MWの開発が始まりました。14年には合弁会社のMHIヴェスタスが設立され、洋上風力発電機が8MW、9MWに拡大され、私たちが17~18年から設置していきました。

 その後に大きな進展がありました。ゼネラル・エレクトリック(GE)が12MWのタービンを携えて市場に参入してきたのです。そのタービンは23年から使用予定です。現在、シーメンスとヴェスタスの両社が14MW、15MWのタービンを準備していて、24~25年には稼働が始まるでしょう。

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