10月31日に閉幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の結果を、公然と批判した経営者がいる。洋上風力発電の世界最大手、オーステッドのマッズ・ニッパー最高経営責任者(CEO)だ。温暖化対策で新味のある内容を打ち出せなかったG20に対し、Twitterで「悪い日だった」と指摘した。その一方、同日から英グラスゴーで開幕した第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で「世界の首脳たちのリーダーシップに期待する」と述べた。

 デンマーク企業のオーステッドは、世界で7.6ギガワット(GW)時の洋上風力発電を導入し、今後も規模を拡大していく方針だ。(参照:「経営危機の石油会社が、なぜ洋上風力の世界最大手に」)。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや英BPなどの石油メジャーが同分野に参入するが、オーステッドは技術や知見、規模の面ではるか先を走っており、羨望の的となっている。昨年はオーステッドの時価総額が、BPのそれを上回る場面もあった。

 シリーズ「グリーン覇権」の第2回は、COP26前にデンマークで取材した洋上風力発電の現場の様子を動画と写真でお伝えしたい。そこには、日本企業が手本とする産業や雇用の新規創出があった。

 オーステッドは、デンマークや欧州各国の海域に大規模な洋上風力発電所を保有する。今回、筆者が取材に向かったのはデンマーク南部のニステッド沖合にあるバルト海の発電所だ。2003年に稼働を始め、165.6メガワットの発電能力がある。タワーの高さは69メートル、羽根の長さは40メートルの独シーメンス製の風力発電機が72基、海上に並んでいる。

(写真:Maya Matsuura)
(写真:Maya Matsuura)

 洋上風力のエンジニアたちの朝は早い。6時半に集合。事務所1階の会議室に現場のエンジニアと事務メンバーが集まり、ミーティングが始まる。円陣を組むような形で自由に発言し、和やかな雰囲気だ。安全確認などを実施する。ミーティングのリーダーは、できるだけ多くの人が発言するように促している。

(写真:Maya Matsuura)
(写真:Maya Matsuura)

 事務所の隣にある倉庫に移動。簡単な準備運動をした後に、交換の機材をトラックに詰め込む。いつも同じメンバーで作業をしているためか、非常に連携がよく、あっという間に準備が完了する。いよいよ、乗船だ。筆者は安全指導を受けた後に、メンテナンス作業の船に同乗した。

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