10月31日、英グラスゴーで国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)が開幕した。1995年の第1回から26回目に当たり、COP26と呼ばれる。世界各国は温暖化ガス排出量の削減義務を負うものの、グリーン産業の活性化を経済成長の起爆剤にしている。

 実際にCOPが開催される度に、グリーン産業の市場規模が拡大している。その市場を巡って世界中の企業が競争を繰り広げ、既に再生可能エネルギーや電気自動車(EV)では巨大な企業が誕生しつつある。シリーズ「グリーン覇権」では、COP26の会議の内容と共に、グリーン市場の覇権争いを描く。

G20の首脳は10月31日、イタリア・ローマの観光名所であるトレビの泉に集まり、記念撮影に収まった。日本の岸田文雄首相は、衆院選のため対面での会議を欠席した(写真:AP/アフロ)
G20の首脳は10月31日、イタリア・ローマの観光名所であるトレビの泉に集まり、記念撮影に収まった。日本の岸田文雄首相は、衆院選のため対面での会議を欠席した(写真:AP/アフロ)

 「英グラスゴーで失敗したら、すべてが失敗になる」。20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は10月31日、首脳宣言を採択して閉幕した。気候変動が大きな議題だったが、新味に乏しい内容となった。それを受け、英国のジョンソン首相は記者会見で焦燥感をあらわにした。

 COP26とG20はいずれも2年ぶりの対面開催で、連携した会議だと位置付けられている。11月1日と2日はCOP26の首脳級会議が設定され、各国首脳はG20のイタリア・ローマから英グラスゴーに飛び、議論を続ける。

 COP26のホスト国である英国は、G20で踏み込んだ合意内容を引っ提げてCOP26に臨む予定だったが、もくろみは外れた。焦点になったのは、二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力の扱いだ。ジョンソン首相は石炭火力の全廃を目指しており、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席や日本の岸田文雄首相に対し、それぞれ電話協議で石炭火力の段階的な廃止を要請していたほどだ。

 しかし、国内の電源を石炭火力に頼る国は譲らなかった。中国の習氏とロシアのプーチン大統領は対面での会議に欠席したものの、会議では石炭の依存度が高い国々の代表者が強硬に反対論を展開したもようだ。石炭火力に頼る日本はG7では孤立しかねなかったが、G20では協同歩調を取る国が多い。

 G20では2021年末までに国外の石炭火力発電への公的な金融支援を停止することで合意したが、これは従来の合意内容から前進は少ない。COP26でも国内における石炭火力の縮小については、合意が難しい状況になった。

ジョンソン首相、EVシフトに執着

 しかし、COP26で厳しい目標の設定を避けたい国々は安心はできない。英国が、画期的な内容での合意に執念を燃やしているからだ。ここで浮上しているのが自動車関連の目標だ。ジョンソン首相は当初からCOP26での重要テーマとして、「石炭火力」「自動車」「資金調達」「植林」の4つを挙げていた。石炭火力について踏み込んだ内容での合意が難しくなったことで、自動車にターゲットを絞る可能性がある。

 ジョンソン首相はCOP26で、ガソリン車などエンジン搭載車の新車販売の禁止を求める考えを示している。英国は既に30年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する政策を打ち出し、電気自動車(EV)関連産業の誘致に力を入れている。COP26の文書に、EV関連の何らかの方針を盛り込むことをもくろむ。