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 第2波の襲来で、2回目の大規模なロックダウン(都市封鎖)を導入する。フランスのマクロン大統領は10月28日夜、仏全土の外出制限を30日から12月1日まで実施すると発表した。

 厳しい規制を導入したのは、新型コロナウイルスの新規感染者が急増し、死者も増えているからだ。27日の死者数は523人に上った。特に重症者が増え、パリを含む都市圏「イルドフランス」では緊急用ベッドの7割以上をコロナ患者が占め、受け入れ能力が限界に達しつつある病院もあるようだ。マクロン大統領はテレビ演説で、「感染の第2波は、これまでより多くの死者を出す可能性がある」と語った。

 ドイツも28日に、飲食店の営業を禁止することを発表し、緊迫度が高まっている。それに比べても欧州の中でフランスが突出して感染者数と死者数が多いのはなぜか。今回は英国の看護師長のインタビューを掲載する予定だったが順番を入れ替え、フランスのコロナ対策の構造問題に迫る。

■シリーズ「第2波」のラインアップ(予定)
第1回:欧州、感染者が第1波の約4倍で「半ロックダウン」へ
第2回:英国が第1波より感染者激増も死者数89%減のワケ
第3回:フランス、「ロックダウンの罠」でコロナ死者急増の恐れ
第4回:英看護師が語る医療現場の手応えと懸念
第5回:第1波で泣いたイタリア、何を変えたのか
第6回:イタリアと道が分かれたスペインの苦悩
第7回:ドイツ、移動の自由を巡る議論が白熱
第8回:スウェーデンの独自路線は奏功したのか 

フランスのマクロン大統領は、10月28日午後8時からテレビで2回目の全国的なロックダウンを発表した(写真:ロイター/アフロ)

 フランスのマクロン大統領はテレビ演説で表情を変えず諭すように語ったが、苦渋の決断だったはずだ。マクロン大統領は28日夜、春の第1波に続く2回目の全国的なロックダウンの導入を発表した。30日から少なくとも12月1日まで原則外出を禁じる。外出の際には通勤や通学、通院などの理由を記入した証明書の携帯を求める。第1波と異なり、小学校から高校までの学校を閉鎖しない。

 感染拡大と1回目のロックダウンでフランスは大きく傷ついた。2020年の経済成長率はマイナス10%の見通しで、国民にも重いストレスがかかっていた。そのためフランス政府は第2波において、経済や人々の暮らしに配慮し、規制を小出しに導入してきた。9月から地域限定で飲食店の営業を禁じ、10月中旬から地域を絞り夜間の外出を禁止した。

 しかし、10月中旬から欧州で最悪ペースで感染者数が増え、1日当たりの新規感染者が5万人を超え、入院患者も急増。27日には1日当たりの死者数が500人を超えた。感染拡大が止まらず、病院の受け入れ能力に余裕がなくなってきていることから、強い規制に踏み切らざるを得なかった。

 それでは、欧州の中でも特にフランスが、第2波で新規感染者数と死者数が多い理由は何か。これまでの経緯を振り返ると、「ロックダウンの罠(わな)」と呼べるような構造問題を抱えているように見える。