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 新型コロナウイルスの第1波で欧州最多の死者数が出てしまった英国で、再び感染が拡大している。8月から1日当たりの新規感染者数が1000人を超え、10月4日には新規感染者数が2万人を超えた。その後も1万人超の日が続いており、春の第1波の感染者数を大幅に上回っている。

 感染が拡大する欧州のチェコやアイルランドでは全土の都市封鎖(ロックダウン)に踏み切ったが、経済的ダメージが甚大になるため、英政府はできるだけ全土のロックダウンを回避する意向だ。イングランドを対象に地域ごとに適用する3段階の規制を導入。この規制に従い、ロンドンでは10月17日からレストランを含む屋内で同居人以外と会うことが禁じられた。

 都市部の感染拡大と規制強化は、英経済の主力のサービス業に大きなダメージを与えそうだ。第1波の4月以降、回復基調にあった景気が二番底に陥ることが懸念されている。

 第1波では感染拡大の局面で、死者数も急増し1日当たり1000人を超える日もあった。第2波では重症者や死者数は増えつつあるが、第1波に比べると今のところ大幅に少ない。英国の感染拡大による経済への影響と共に、新型コロナによる死者数が少ない理由を探る。

■シリーズ「第2波」のラインアップ(予定)
第1回:欧州、感染者が第1波の約4倍で「半ロックダウン」へ
第2回:英国が第1波より感染者激増も死者数89%減のワケ
第3回:英看護師が語る医療現場の手応えと懸念
第4回:フランス、欧州最悪の感染拡大で夜間外出禁止に
第5回:第1波で泣いたイタリア、何を変えたのか
第6回:イタリアと道が分かれたスペインの苦悩
第7回:ドイツ、移動の自由を巡る議論が白熱
第8回:スウェーデンの独自路線は奏功したのか 

第1波のロックダウンが明けてから英ロンドンの繁華街は多くの人出でにぎわった(写真:PA Images/アフロ)

 抑圧の反動だろうか。英国では夏以降、主に若者たちによる乱痴気(らんちき)騒ぎが目立った。繁華街の路上でクラブのような密集状態で踊ったり、クリケットに興じる人たちがいたりして、警察が出動する騒ぎにもなった。

 新型コロナの感染拡大の前も繁華街の路上では派手に騒ぐ人が多かったが、閉鎖されたクラブなどの代わりなのか、反逆なのか、罰則を覚悟で集団で騒ぐような事例が報告されている。ロンドンでは反コロナ対策のデモがあり、警察との衝突が起きた。

英国の1日当たりの新型コロナ新規感染者数
9月以降に第2波の増加が始まり、右肩上がりで増え続けている 出所:英政府の新型コロナ特設サイト

 連載の前回でも指摘した通り、感染拡大の第2波が起きている理由としては、「バカンス」「学校再開」「気の緩み」「検査数の増加」が挙げられている。もちろん、若者たちの乱痴気騒ぎだけが原因ではないだろうが、英国では9月以降に感染者が急増した。10月以降は1日当たりの新規感染者数が1万人を超える日が続いている。

 パトリック・ヴァランス政府首席科学顧問は9月中旬に、「今の時点で対策を取らなければ、10月半ばに1日当たりの感染者数が5万人に達し、11月半ばには(1日当たりの)死者が200人を超える可能性もある」と警告していた。そこまでではないが、感染者は増え続けており、減少の兆しは見られていない。