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 欧州に新型コロナウイルス感染拡大の第2波が押し寄せている。冬に感染が拡大することは予想されていたが、早くも各地で緊急事態の様相を呈している。欧州疾病予防管理センターによると10月16日の欧州全体の新規感染者数は約14万5000人と第1波のピーク時のおよそ4倍となり、地域別では最多となっている。

 特に感染者が多いのはフランス、英国、スペインだ。春のピーク時に欧州で1日当たりの新規感染者が1万人を超える国はなかったが、10月18日までの最大値を見るとフランスで3万人超、英国で2万人超、スペインで1万5000人超となっている。フランスのマクロン大統領は仏テレビの取材で、「我々は感染第2波のまっただ中にいる」と述べた。

 新規感染を抑えていたイタリアと、人口およそ1100万人のチェコとベルギーで1万人を超えたのも大きなニュースになった。以上の6カ国が1日当たり1万人以上の新規感染者を記録している。

 こうした感染拡大を受け、欧州各国が規制を強めている。第1波で急激な経済縮小に陥り、既に失業者の急増や財政負担の増加に苦しんでいる。経済的な配慮から、どの国も全国的な都市封鎖(ロックダウン)は避けようとしているが、夜間の外出禁止や飲食店の営業禁止、移動制限など「半ロックダウン」のような規制を導入する国が増えてきている。

 9月からは、それまで上昇基調だった景気指数が再び下落に転じている。新規感染者が急増する中で、欧州各国は防疫と経済対策のバランスをどのように取るのか。第1波との違いを示しながら、第2波に苦闘する欧州の課題を探る。

■シリーズ「第2波」のラインアップ(予定)
第1回:欧州、感染者が第1波の約4倍で「半ロックダウン」へ
第2回:GDP縮小幅最大の英国、中央と地方の対立で混乱
第3回:英看護師が語る医療現場の手応えと懸念
第4回:フランス、欧州最悪の感染拡大で夜間外出禁止に
第5回:第1波で泣いたイタリア、何を変えたのか
第6回:イタリアと道が分かれたスペインの苦悩
第7回:ドイツ、移動の自由を巡る議論が白熱
第8回:スウェーデンの独自路線は奏功したのか 

フランス・パリのルーヴル美術館前。同国政府は10月17日から少なくとも4週間、午後9時から午前6時までを外出禁止とした(写真:AP/アフロ)

 欧州で新型コロナの感染拡大の第2波が始まったのは8月ごろからだ。英国は感染リスクが高い国からの入国者に14日間の自主隔離措置を課していたので、指標としては分かりやすい。

欧州疾病予防管理センターのデータ。10月18日までのEU加盟国や英国における新規感染者数の推移。夏以降の第2波の新規感染者数が、第1波のそれを大きく上回っている

 はじめに急激な感染拡大に見舞われたのがスペインだ。首都マドリードを中心に感染者が急増し、英国は7月26日にスペインからの入国者を自主隔離の対象とした。次にベルギーやフランスの新規感染者が増えた。英国は8月8日にベルギーから、同15日からフランスからの入国者を自主隔離の対象とする。そして9月からは英国内の新規感染者が急増していく。

 9月末まで持ちこたえ、模範と捉えられていたイタリアも10月からは感染が拡大。ついに10月18日に英国の自主隔離の対象になった。

 一方、ドイツは新規感染者が増えているものの、欧州各国に比べると人口当たりの感染者数を抑えられている。第1波でロックダウンしないなど独自の対策で注目を集めるスウェーデンも、新規感染者がそれほど増加していない。10月18日時点で、英国に入国する際に自主隔離を求められていないのは、ドイツとスウェーデンの他に、フィンランド、ノルウェー、エストニアなどだ。