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 ノルウェーのノーベル賞委員会は10月9日、2020年のノーベル平和賞を国連世界食糧計画(WFP)に授与すると発表した。1961年創設の国連組織であるWFPはイタリア・ローマに本部があり、難民などへの食料支援や飢餓撲滅の活動をしていることが評価された。中東のシリアやアフリカの南スーダンなど世界88カ国の約9700万人の食料などを支援している。

 そのWFPと事業連携している日本企業がある。ミドリムシを原料とする食品や燃料などの開発、販売を手掛けるユーグレナだ。同社はもともとバングラデシュの子供たちにクッキーを提供していた。ミャンマーで迫害され、バングラデシュに逃れてきたイスラム教徒のロヒンギャに対して、ユーグレナが食料支援をしていたところ、WFPから事業連携の打診があった。

 実際にWFPとの事業連携を実現し、2017年12月と20年3月にロヒンギャの難民キャンプにも足を運んだユーグレナの出雲充社長が、現地で見たWFPのすごみを語った。

ロヒンギャの難民キャンプでユーグレナの出雲充社長(写真左)は、WFPバングラデシュ事務所事業部長の中井恒二郎氏に会った(写真以下全て/出雲充)

ユーグレナはロヒンギャ難民の食料支援でWFPと事業連携をしています。WFPの活動の特徴を教えてください。

ユーグレナ・出雲充社長(以下、出雲氏):難民キャンプの食料支援の現場を見てよく分かったのですが、WFPは危機に対する即応力が極めて高い組織です。最も危険なところに、最初に駆けつけ、現場で泥んこになって活動しています。

 人間は、食べなければ生きていけませんよね。南スーダンやフィリピンなどで人々が飢餓状態に追い込まれたとき、最初に駆けつけて食料を提供したのがWFPでした。一番困難なときに頼りになる組織です。

ロヒンギャ難民のキャンプにあるWFPのロゴ

 実際、私が2017年12月、ロヒンギャの難民キャンプにユーグレナ入りのクッキーを届けに行ったときにも、それを目の当たりにしました。ロヒンギャはミャンマーでの迫害からバングラデシュに逃れ、突如として80万人もの人々が難民になってしまいました。そのときに最初に駆けつけたのがWFPでした。

 多くの難民が発生したとき、現地は混乱状態にあり食料も不足しています。一時的に食料を提供するだけでなく、食料供給のロジスティクスを確保するために、インフラを整えないといけません。私がキャンプに行ったときには、WFPが物流センターや倉庫や発電所、道路などを既につくり始めていました。

 WFPにはそれぞれの分野で百戦錬磨のスペシャリストがいて、あっという間にインフラなどをつくり上げてしまうのです。国連開発計画(UNDP)や国連食糧農業機関(FAO)など他の支援組織は、WFPのインフラに乗っかるというのが、難民支援の現場ではコンセンサスになっています。