ドイツの緑の党は、26日投開票のドイツ総選挙で最も得票率を伸ばした。選挙結果に喜ぶ共同党首のベーアボック氏(左)とハーベック氏(右)(写真:ロイター/アフロ)
ドイツの緑の党は、26日投開票のドイツ総選挙で最も得票率を伸ばした。選挙結果に喜ぶ共同党首のベーアボック氏(左)とハーベック氏(右)(写真:ロイター/アフロ)

 9月26日、ドイツ連邦議会選挙(総選挙)が投開票された。既に16年間、首相を務めたメルケル首相が政界引退を表明し、今回は新しい首相と政権を決める注目の選挙となった。メルケル首相が所属する中道右派であるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と、中道左派である社会民主党(SPD)が接戦を演じた。

 終盤には国民の人気の高いメルケル首相が前面に出て投票を呼びかけたものの、CDU・CSUは前回の総選挙では32.9%だった得票率を大幅に減らし、過去最低の24.1%となった。変革を望む声が強まる中、7月の大洪水の被災地でCDU・CSU首相候補のラシェット党首が舌を出して大笑いする写真が報道され、同党には逆風となった。一方のSPDの得票率は25.7%で前回より伸ばし、CDU・CSUをかわして第1党の座を確保した。

 しかし、両党共に過半数には届かないため、他党との連立交渉に入る。連立政権の中でキャスチングボートを握りそうなのが、緑の党だ。同党の得票率は過去最高の14.8%で、前回の8.9%から大幅に得票率を伸ばし第3党に躍進した。

 様々な政党の組み合わせによる連立政権が取り沙汰されているが、SPDとCDU・CSUが連立を組まない場合は、第3党の緑の党との連立が不可欠になる。その緑の党が最も力を入れるのが環境政策であり、今後のドイツだけでなく、欧州や世界の自動車産業やエネルギー産業を揺さぶることになりそうだ。

ドイツは電源の約24%を石炭火力に依存

 ドイツでは再生可能エネルギーが普及し、環境対策に積極的なイメージがあるかもしれないが、石炭火力発電所への依存度が高く、欧州の中でも電源構成におけるCO2排出量が多い。2020年の電源に占める石炭火力の比率は約24%、化石燃料では約4割だ。今年は風況が悪く再エネ比率が下落し、化石燃料の比率が高まっている。環境先進的な部分はあるが、必ずしも環境先進国とは言えない。

 メルケル首相は、東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故後に脱原発を決断し、環境対策に積極的な姿勢を見せた。しかし、メルケル首相が所属するCDUは、もともと原発を推進しており、ドイツの主要政党の中では環境政策に消極的だ。

 7月にはドイツ西部で180人以上が犠牲となる記録的豪雨に見舞われ、環境対策への関心は高まっていた。こうした中、緑の党は30年のCO2排出量の削減目標を欧州連合(EU)が掲げる1990年比で55%から70%に引き上げようとしている。また、メルケル政権は2038年に石炭火力の廃止を計画しているが、緑の党は30年に前倒しすることを訴えている。

続きを読む 2/3 緑の党は2030年にエンジン車の新車販売禁止を掲げる

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