2019年の独フランクフルト国際自動車ショーに出展していた中国の寧徳時代新能源科技(CATL)。21年中にドイツで新工場を開設する予定だ
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<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは:</span>「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
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欧州委員会が電池産業の育成を明確にし、欧州各社が巨大な電池工場の建設計画を打ち出しています。官民一体で自動車の電動化に突き進む欧州の動向をどのように捉えるべきでしょうか。日経ビジネスは、専門家が解説する日経ビジネスLIVE(オンラインセミナー)「電気自動車で日本は勝てるのか~欧州の野望を読み解く」を9月15日(水)16:00~17:00に開催します(事前登録制、日経ビジネス電子版有料読者は受講料無料です)。詳細についてはこちらをご覧ください。今回は登壇するZFジャパン社長の多田直純氏のインタビューの一部をお届けします。

多田さんはドイツのボッシュや中国の寧徳時代新能源科技(CATL)でマネジメント経験があり、現在はZFジャパン社長として自動車サプライヤーに精通しています。今のEV市場の状況をどのように見ていますか。

ZFジャパン社長の多田直純氏(以下、多田氏):中国では、今年から来年にかけて電池の生産量が急激に伸びていきそうな勢いです。それから考えると市場にEVが出始めるのが、2022年や23年ぐらいになりそうです。おそらく3〜4年前の17年や18年ぐらいに生産設備への投資計画を考え始めたと思います。

 その頃の17年に私はCATLに入りました。そのときは欧州や日本の自動車メーカーが、CATLに何度も足を運んでいたときです。CATLの本社がある寧徳(ニンドゥ)にあるワンダプラザホテルにいつも泊まっていたんですけど、そこには欧州の自動車メーカーの人たちが毎日いましたね。

そのときには実際、自動車メーカーとCATLはどのような交渉をしていたのですか。

多田氏:日本の自動車メーカーは、電池の供給量の約束をしてほしかった。生産量の確保のために動いていましたね。当時、日本の自動車メーカーは日本の電池メーカーと距離を取り始めていました。

<span class="fontBold">多田 直純氏</span><br/>ZFジャパン代表取締役社長。1961年生まれ。86年、大阪工業大学応用化学科卒業。同年、ボルグ・ワーナー・オートモーティブに入社。01年、ボッシュに入社し、要職を歴任。16年、テネコジャパンに入社し、マネージング・ディレクターに就任。17年、コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・ジャパンのリージョナル・プレジデント兼取締役、19年から現職。
多田 直純氏
ZFジャパン代表取締役社長。1961年生まれ。86年、大阪工業大学応用化学科卒業。同年、ボルグ・ワーナー・オートモーティブに入社。01年、ボッシュに入社し、要職を歴任。16年、テネコジャパンに入社し、マネージング・ディレクターに就任。17年、コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・ジャパンのリージョナル・プレジデント兼取締役、19年から現職。

その頃には技術面や品質面の課題はクリアになっていたのですか。

多田氏:当時、日本の自動車メーカーは自分たちの基準を製品に反映しようとしていました。プラットホーム(車台)の開発に5年以上かかるような話を持ってくるのに対し、中国は非常に短い開発期間で対応するという話をしました。逆にCATLの方に日本の自動車メーカーの品質の高さやノウハウを植え付けるような話をしながら、ウイン・ウインの関係を築くようにしました。

欧州勢と日本勢のアプローチの仕方は違ったのですか。

多田氏:違いますね。欧州の顧客たちは切り替えが早かったです。というのは、欧州顧客の最初の新エネルギー車(NEV)は、中国限定だったのですよ。スペックも中国限定とし、そのときに欧州の顧客が開発プロセスや品質プロセスをCATLに教えて、CATLはそれを勉強していきました。その後、中国のスペックからグローバルのスペックに持っていく過程には時間をかけていました。

続きを読む 2/2 日本と欧州の自動車メーカーで2年ぐらいのギャップがあった

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