<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは:</span>「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

9月6日から始まった独ミュンヘンの国際自動車ショーで、欧州各社は電気自動車(EV)の新型車を発表しました。翌日にはメルケル独首相が現れ、EVへの注目度を高めました。官民一体で自動車の電動化に突き進む欧州の動向をどのように捉えるべきでしょうか。日経ビジネスは、専門家が解説する日経ビジネスLIVE(オンラインセミナー)「電気自動車で日本は勝てるのか~欧州の野望を読み解く」を9月15日(水)16:00~17:00に開催します(事前登録制、日経ビジネス電子版有料読者は受講料無料です)。詳細についてはこちらをご覧ください。 今回は登壇する伊藤忠総研・上席主任研究員の深尾三四郎氏のインタビューの一部をお届けします。

ドイツのメルケル首相は7日、ミュンヘンの国際自動車ショーを訪問し、ドイツメーカーの電気自動車をアピールした。(写真:ロイター/アフロ)
ドイツのメルケル首相は7日、ミュンヘンの国際自動車ショーを訪問し、ドイツメーカーの電気自動車をアピールした。(写真:ロイター/アフロ)

深尾さんは20年前に欧州で環境政策の最前線を学んでいました。その時から今をどのように振り返っていますか。

深尾三四郎氏(以下、深尾氏):私は高校・大学と英国に5年間留学し、ロンドンのLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)で教育を受けました。実は私の担当教官がEU-ETSという欧州の排出枠取引市場の制度設計をした人たちだったのです。20年前、その大学の講義で教えてもらったことが今、そのまま目の前で起きています。

2000年代半ばからEU-ETSが始まり、しばらくは静かな値動きでしたが、再びCO2排出に値段をつけるカーボンプライシングに注目が集まり、昨年から価格が急上昇しています。

深尾氏:実際に政策立案のプロセスを見てきたので、100%ではありませんが何が起こるのかの予測がつく部分があります。電気自動車(EV)シフトは、ヨーロッパ人のお得意なルールメーキングやゲームチェンジなのです。私は新著の中でも錬金術と表現していますが、半分はまゆつばものなわけですよ(笑)。

 でも、とりわけ産業の変革期というのは、欧州は土俵を変えるというのが、今までの歴史ではあります。それが自動車産業で色濃く出ています。いわゆる脱炭素の関連でも大きなルールが作られつつあります。

<span class="fontBold">深尾 三四郎氏</span><br />伊藤忠総研・上席主任研究員 1981年生まれ。経団連奨学生として麻布高校から英UWCに留学し国際バカロレアを取得。2003年英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)地理・環境学部卒。ヘッジファンドや国内外金融機関でのアナリストを経て、19年より現職。自動車業界で世界最大のブロックチェーン国際標準化団体「MOBI」ではアジア人として唯一の理事も務める。著書に『モビリティ2.0―「スマホ化する自動車」の未来を読み解く』(2018年)、『モビリティ・エコノミクスーブロックチェーンが拓く新たな経済圏』(2019年、いずれも日本経済新聞出版)。新著に『モビリティ・ゼロー脱炭素時代の自動車ビジネス』(日経BP)
深尾 三四郎氏
伊藤忠総研・上席主任研究員 1981年生まれ。経団連奨学生として麻布高校から英UWCに留学し国際バカロレアを取得。2003年英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)地理・環境学部卒。ヘッジファンドや国内外金融機関でのアナリストを経て、19年より現職。自動車業界で世界最大のブロックチェーン国際標準化団体「MOBI」ではアジア人として唯一の理事も務める。著書に『モビリティ2.0―「スマホ化する自動車」の未来を読み解く』(2018年)、『モビリティ・エコノミクスーブロックチェーンが拓く新たな経済圏』(2019年、いずれも日本経済新聞出版)。新著に『モビリティ・ゼロー脱炭素時代の自動車ビジネス』(日経BP)

EVシフトとしては、具体的にどの政策に注目していますか。

深尾氏:20年12月に発表された欧州電池指令が、最近の激変を表していると思います。日本の自動車メーカーは、欧州委員会が何を考えているのか分からないという恐怖を感じているのではないでしょうか。

 もう今は、技術論ではなくなっています。技術の標準化でデファクトスタンダードを握るという発想ではなく、公的機関などで標準を決めるデジュールスタンダードの観点で政策を考えるのがポイントになっています。ドイツと日本は、技術偏重型でヒエラルキー型の自動車産業を構築してきましたが、そのドイツメーカーの思考回路が、はっきりと変わってしまっています。

どのように変わっていますか。

続きを読む 2/3 欧州は4、5年前からルール作りを仕込んでいた

この記事はシリーズ「大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。