VWがエントリーモデルのEVを発表

 世界のEVシフトをけん引する独フォルクスワーゲン(VW)は、メルセデスとは反対に低価格の新型EV「ID.ライフ」を発表した。同社は昨年、初の量産EV「ID.3」を発売する際に低価格でEVの大衆化を訴えたが、実際は3万ユーロ(約390万円)以上で、それほど安くなかった。

VWは約2万ユーロの新型EV「ID.ライフ」でEVの大衆化を狙う(写真:Mari Kusakari)
VWは約2万ユーロの新型EV「ID.ライフ」でEVの大衆化を狙う(写真:Mari Kusakari)

 今は電池コストが高いため「EVは金持ちの乗り物になる」と批判があり、VWには大衆向けのEVが不可欠である。ID.ライフの価格は約2万ユーロ(約260万円)で、VWの1つの回答と言える。低価格を実現するために、様々な工夫を凝らしている。インテリアは簡潔なデザインで、未来感を出すと同時にコスト削減の努力の跡がうかがえる。電池容量は57キロワット時で、1回の充電当たりの航続距離は約400kmと、高級車に比べて短くなっている。

 スペインの工場で生産し、25年に発売する予定だ。シュコダ(チェコ)やセアト(スペイン)などグループの量産ブランドでも派生車種を展開する。低価格の一方で、スマートフォンなどを車内で使いやすい設計となっており、若者のEVユーザーを増やすことも狙う。

 VWの前夜祭はユニークだった。冒頭はVWが出資した米スタートアップ、アルゴAIのブライアン・サレスキーCEOとVWのディース社長が自動運転車について議論。その後は、記者たちはマスクをしながら、VWの経営陣と意見を交わし合うイベントになった。ディース社長はマスクを外してソファに腰掛け、EVと自動運転の未来を語っていた。

ソファに腰掛け、記者たちの質問に答えるVWのディース社長(右)
ソファに腰掛け、記者たちの質問に答えるVWのディース社長(右)

ボッシュはEV関連の売上高が10億ユーロ超に

 EV時代の陰の主役であるサプライヤーも意気軒高だった。自動車部品の世界最大手、独ボッシュのフォルクマル・デナー会長は、「今年のEV関連の売上高は10億ユーロ(約1300億円)を超えそうだ」と胸を張った。特にモーターやギアなどが一体となった電動アクスルなどの販売が好調で、25年までにはEV関連の売上高が5倍に伸びるという。

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