ウィンブルドン選手権の観客席。マスクを着用せず、雰囲気は例年とあまり変わらない(写真:PA Images/アフロ)
ウィンブルドン選手権の観客席。マスクを着用せず、雰囲気は例年とあまり変わらない(写真:PA Images/アフロ)

 7月23日に開幕する東京五輪で、新型コロナウイルス対策として観客の有無や受け入れ方法が焦点になっている。大会組織委員会は、海外の大規模スポーツ大会の事例も参考にしているようだ。

 欧州では昨年は中止に追い込まれた大規模なスポーツ大会が復活している。サッカー欧州選手権「ユーロ2020」が6月11日から始まった。多くのサポーターが試合会場の観客席で歓声を上げ、レストランやパブにも集まっている。

 また、同月28日から英国ではテニスの四大大会の1つであるウィンブルドン選手権が2年ぶりに開催されている。同国では成人の63.8%が2回目のワクチン接種を終えているが、インド型(デルタ株)がまん延し、1日当たりの新型コロナ感染者が2万5000人を超えている。テニスの聖地では、どのような感染対策をしているのか。現地を訪れてみた。

 6月29日。テニスの英ウィンブルドン選手権を訪れた。例年であれば最寄り駅から会場のオールイングランド・クラブに向かう徒歩15分ほどの道は、多くの入場客が列をつくっているが、今年は人が少ない。

 主催者から事前に、入場の際にはワクチンの接種証明、迅速検査の陰性結果などを示す必要があるという通知が来ていた。滞在できる時間が短かったため、様々なチェックで入場まで時間がかかることを懸念しながら入場ゲートに向かった。

ウィンブルドンの会場内を歩く人々は、あまりマスクを着用していない
ウィンブルドンの会場内を歩く人々は、あまりマスクを着用していない

 だが、さっそく肩透かしをくらう。入場の際にはチケットをチェックされ、手荷物検査を受けるだけだった。筆者は2回のワクチン接種を完了しているため、国民医療制度(NHS)のワクチン証明を持参していったものの、提示を求められなかった。筆者が入場したゲートのチェックがたまたま緩かっただけかもしれないが、ほぼ例年と変わらない手続きだった。

 スタッフはマスクをしているが、入場客は英国の街中と同じようにあまりマスクを着用していない。例年と同じようにアルコール飲料を提供し、飲みながら観戦している人がたくさんいた。グッズ販売の店舗も混雑し始めると入場制限をするが、さほど混んでいない。コロナ対策として、オープンスペースでのグッズ販売エリアが増えていた。マスク着用や入場制限など小売店のルールは、英国の街中のそれとほぼ同じだ。

ナンバーワンコートは5割ぐらいの客席が埋まっていた
ナンバーワンコートは5割ぐらいの客席が埋まっていた

 チケットを購入したナンバーワンコートの座席に向かった。当初は観客を収容人数の50%程度に抑えるとしており、実際に筆者が観戦した試合では、それぐらいの占有率のように感じた。所々の座席は空いているが、場所によっては前後左右の座席に観客が座り、マスクを着用している人は少ない。プレー中は静まりかえり、プレーが終わった後に歓声を上げ、拍手を送るといった観戦スタイルは、従来と変わっていなかった。

 観客が劣勢に立たされた選手を鼓舞するために、繰り返す拍手と激励の声。その反応を受け、明らかに気持ちが乗り調子を取り戻す選手。その観客と選手のコミュニケーションを見ると、ライブ観戦の素晴らしさを改めて感じる。

続きを読む 2/2 ウィンブルドン決勝では満員の1万5000人を受け入れ

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