顧客がどのパワートレインを選択するかは予測できない

メーカー側が将来のパワートレインごとに比率を定めるのは難しいですよね。

ビーニャ氏:あえてこういう言い方をしますが、私には顧客の需要を予測できません。私たちができることは、選択肢を提供することです。3種類のパワートレインを持つ製品を提供し続けることです。言えるのはそれだけです。

 現在は、EVの割合を増やそうとしています。さらに市場の需要が増えると分かっているので、より多くの設備投資を行います。この3種類の製品がどのような結果をもたらすかは、今後明らかになるでしょう。

フェラーリのビーニャCEOは、投資家向け説明会でさまざまな戦略を語った
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フェラーリは30年までにカーボンニュートラルを目指しています。ICEにおいてどのように達成するのでしょうか。新たな燃料を使うのでしょうか。その時点ではeフューエル(水素と炭素の合成燃料)の供給能力が不足しているかもしれません。

ビーニャ氏:良い質問ですね。我々は3つのアクションによりカーボンニュートラルを達成していきます。1つ目は、物流や生産に関する二酸化炭素(CO2)排出をゼロにすること。2つ目は、製品を電動化すること。3つ目は、リサイクルされた素材を使用し、カーボンフットプリント(製品のライフサイクル全体のCO2排出量)を減らすことです。

 さらに、気候変動問題解決に向けた取り組みも行います。外部企業と提携して、CO2削減のプロジェクトを進めます。またローカルな取り組みとして自社で植林を行い、排出した分のCO2を相殺します。20年以内にeフューエルを使うことも視野に入れています。

水素を用いたエンジンの開発を進めている

記者会見では水素を燃料に使ったICEについて言及していました。水素エンジンのポテンシャルについて、どのように考えていますか。

ビーニャ氏:水素のエネルギー密度はガソリンのエネルギー密度よりもずっと高いため、理論としてはとても良いコンセプトです。水素を保管するため車内にスペースが必要となります。この10年では、フェラーリに水素が使われるようにはまだならないと思います。

 その次の10年では、可能性はあるかもしれません。次の10年でそれを実現させるためには、今から始めないといけないのです。電動化に関しても同じようなプロセスがありました。10年以上前から電動化を始めたため、EVの開発に今、足を踏み入れられているのです。電動化に向けて開発を始めたのは13年前なので、フェラーリにとってEVは真新しいものではありません。

既に水素を用いたICEエンジンの開発を始めているのですか。

ビーニャ氏:はい、いくつかのパートナーと開発を始めています。ただ、水素エンジンは30年より前には登場しないでしょう。

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