VW社長「テスラは我々のベンチマークだ」

 実際、英ロンドンではモデル3を目にする機会が増えている。英北部グラスゴーの産業用冷蔵設備会社、スター・レフリジレーションは、EVのリース利用を全社的に進めている。今年からモデル3を利用しているアンディ・ピアソン社長は、「事業や社員のCO2削減のためEV導入を決め、特にテスラの先進性には満足している」と話す。

 テスラはベルリン工場の稼働が遅れる中、米国や中国から欧州への輸出を増やしている。欧州ではEV需要が高まり、政府支援も手厚いことから、欧州販売に力を入れているようだ。

英ロンドンのテスラの販売店。6月28日、平日昼間でも来店客が絶えない
英ロンドンのテスラの販売店。6月28日、平日昼間でも来店客が絶えない
2021年1~4月期の欧州の車種別のEV販売ランキング。テスラの「モデル3」が、2位のVWのID.3に2倍近い差をつける (出所:シュミット・オートモーティブ・リサーチ)
2021年1~4月期の欧州の車種別のEV販売ランキング。テスラの「モデル3」が、2位のVWのID.3に2倍近い差をつける (出所:シュミット・オートモーティブ・リサーチ)
[画像のクリックで拡大表示]

 VWとテスラが互いをかなり意識しているのは間違いない。象徴的な場面があった。20年9月にテスラのマスクCEOがVW本社のある独ヴォルフスブルクの空港にプライベートジェットから降り立つと、VWのヘルベルト・ディース社長が出迎えた。

 そのまま滑走路で、マスクCEOがID.3を運転し、助手席にディース社長が乗り込み、2人はEVについて語り合った。しかも、ディース社長はその時の動画をSNS(交流サイト)のリンクトインで公開している。保守的なイメージがあるVWが、マスクCEOのお株を奪うようなオープンな姿勢と情報発信をみせた。

 ディース社長は、昨年11月の自動車業界のイベントで「テスラは我々のベンチマークだ」と発言。社内ではソフトウエアなどでテスラに後れをとっていることを示し、社内の意識改革と開発強化を促している。テスラは高級車が主体で、VWグループの独ポルシェや独アウディのブランドイメージを奪われかねないため、危機意識を強めている。もはやディース社長は、「打倒テスラ」という意識を隠していない。

 一方のマスクCEOは、VWを挑発している。6月10日にEV「モデルS」の上位機種を発表した際には、「どんなポルシェよりも速く、どんなボルボよりも安全だ」と述べた。

官僚主義の地獄へようこそ!

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2139文字 / 全文4040文字

【初割・2カ月無料】有料会員の全サービス使い放題…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

2/22ウェビナー開催、ウクライナ侵攻から1年、日本経済「窮乏化」を阻止せよ

 2022年2月24日――。ロシアがウクライナに侵攻したこの日、私たちは「歴史の歯車」が逆回転する光景を目にしました。それから約1年、国際政治と世界経済の秩序が音を立てて崩壊しつつあります。  日経ビジネスLIVEは2月22日(水)19時から、「ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済『窮乏化』を阻止せよ」と題してウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは、みずほ証券エクイティ調査部の小林俊介チーフエコノミストです。世界秩序の転換が日本経済、そして企業経営にどんな影響を及ぼすのか。経済分析のプロが展望を語ります。視聴者の皆様からの質問もお受けし、議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。 

■開催日:2023年2月22日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済「窮乏化」を阻止せよ
■講師:小林俊介氏(みずほ証券エクイティ調査部チーフエコノミスト)
■モデレーター:森 永輔(日経ビジネスシニアエディター)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。