内燃エンジン(ICE)車のイメージが強い会社は、どのように電気自動車(EV)に移行するのか──。エンジンに強みを持つ世界屈指の高収益企業であるイタリア・フェラーリがEVの開発を進めている。現状とその戦略を探るために、イタリア・マラネッロにある本社を訪れた。

フェラーリは6月16日、イタリア・マラネッロの本社で投資家向け説明会を開催した
フェラーリは6月16日、イタリア・マラネッロの本社で投資家向け説明会を開催した

 6月16日、フェラーリは本社で投資家向け説明会を開催した。2021年9月に就任したベネデット・ビーニャ最高経営責任者(CEO)は、自信たっぷりにフェラーリの業績と将来像を語った。

 2021年12月期の売上高は前期比23%増の42億7100万ユーロ(約6100億円)で、営業利益に相当するEBIT(利払い・税引き前利益)は前期比5割増の10億7500万ユーロ、売上高EBIT比率は25%だった。自動車業界の中でも屈指の高収益企業だ。15年に上場した同社の時価総額は6月27日時点で360億ドル(4兆8500億円)に達する。これは日産自動車やスバル、マツダより大きい。

 20年12月期は新型コロナウイルスの感染拡大で販売台数が減少したが、21年12月期は販売が回復し、過去最高の1万1155台まで増えた。特に「F8」シリーズや「ローマ」などの車種が売れたという。どの車種も数千万円の高級車であり、同社の収益を押し上げた。

フェラーリは投資家向け説明会の後に、記者会見も開いた
フェラーリは投資家向け説明会の後に、記者会見も開いた

 今回の投資家向け説明会では、今後についても強気の見通しを示した。26年には売上高EBIT比率を27~30%まで高めるという。

 そのフェラーリがEVの開発に力を入れている。以前から25年に同社初のEVを発売することを明言していたが、今回の説明会では今後のEV戦略の詳細を説明した。26年までに新車販売の6割をEVとハイブリッド車(HV)、4割を内燃エンジン車とする。さらに30年までにEVを4割、HVを4割、内燃エンジン車を2割にする目標を発表した。

 そのためにマラネッロの本社にEV専用施設を建設する。ビーニャCEOは会見で、「新たなバッテリーやインバーターなどを手作りする施設になる」と語った。

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