独アウディは6月22日、2026年以降に発売する新型車は全てEVにすると発表した

 欧州で電気自動車(EV)シフトが加速している。ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)グループのアウディは6月22日、2026年以降に発売する新型車は全てEVにすると発表した。ガソリンやディーゼルのエンジン開発も25年までに中止するという。

 また、その前日の21日には、スウェーデンの高級車大手ボルボ・カーが同国のノースボルトと共同出資会社を設立し、EV用電池の自社生産に乗り出すと発表。ボルボは30年までにEV専業メーカーになることを表明している。

 こうした発表が相次ぐのは、EVの販売増加に勢いがあるからだ。転換点になったのが20年。欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州の31カ国のEVの販売台数は前年に比べ約2倍の74万5600台、プラグインハイブリッド車(PHV)のそれは、同3.1倍の61万9100台に急増した。

 昨年が転換点になっていることは、以下のデータを見れば分かる。19年までは微増が続いており、EV普及で中国に後れを取っていた。それが20年に突如として成長した。国際エネルギー機関(IEA)は、欧州が世界最大の電動車市場になったと分析している。

欧州では2020年にEVとPHVがそれぞれ前年に比べ販売台数が2倍以上になった(出所:17年までは欧州委員会、18年以降は欧州自動車工業会)

 欧州では21年も前年に続き、EVの販売増加が続いている。ACEAによると欧州31カ国の21年1~3月期のEV販売台数は前年同期比54.6%増の20万2400台、PHVのそれは2.5倍の約25万台だった。21年は20年と同じような比率で上昇することはなさそうだが、前年の販売台数を上回るのは確実な情勢だ。

 背景には大きく2つの要因がある。「ムチとアメ」だ。ムチは欧州連合(EU)のCO2規制。自動車メーカーに1km走行当たりのCO2排出量を平均で95g以下に抑えるという規制を課した。多くのメーカーではエンジン車の販売が減少したこともあり規制内に排出量を抑えたが、21年はEVと同時にエンジン車の販売が伸びており、規制クリアは容易ではない。各メーカーはEV販売に躍起になっている。

 アメは政府の支援策だ。各国政府がEVの購入補助を用意している。自動車関連税の控除も効果が大きい。欧州では企業がEVを導入した場合に、法人税を軽減したり、社員の所得税を控除したりする制度がある。「沸騰・欧州EV」のシリーズの中で、こうした支援策を利用しているリース利用者のエピソードを紹介していく。 

 これまで欧州のEV市場の全体像に触れているが、今回は細かい数字を交えながら市場動向と今後の見通しを掘り下げたい。

続きを読む 2/3 ノルウェーは新車販売の75%がEVとPHVの電動車

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