ノルウェーは新車販売の75%がEVとPHVの電動車

 欧州では国ごとに普及の度合いが異なり、グラデーションが面白い。欧州代替燃料観測所(EAFO)によると、20年の新車販売に占めるEVとPHVの電動車の比率が75%と圧倒的に高いのがノルウェーだ。実に4台に3台が電動車となっている。それにアイスランドの51%が続く。いずれも水力発電や地熱発電などの再生可能エネルギーが主力電源で、早くからEV普及に力を入れてきた。

 特にノルウェーはEVに様々な優遇策を用意している。エンジン車に対する課税を引き上げる一方で、EVへの課税を低く抑えている。中でも首都オスロでは多様な支援メニューがあり、エンジン車から渋滞税を徴収する一方でEVは無税とし、市街地に有料道路を増やし、EVを無料で通行できるようにしている。

 こうした優遇策を受け、ノルウェーでは様々なEVが販売を伸ばしている。20年にはアウディのEV「e-tron(eトロン)」が最量販車種になった。4万~5万ユーロの高級車がベストセラーの地位を獲得するのは異例だ。eトロンは21年1~3月期の販売台数が前年同月比で25%伸びたという。

新車に占める電動車の割合は、ノルウェーにアイスランド、スウェーデン、オランダが続く。電動車の販売台数はドイツとフランス、英国がビッグ3だ 出所:欧州代替燃料観測所(EAFO)
新車に占める電動車の割合は、ノルウェーにアイスランド、スウェーデン、オランダが続く。電動車の販売台数はドイツとフランス、英国がビッグ3だ 出所:欧州代替燃料観測所(EAFO)
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 経済規模の大きい欧州の主要国でも、EVの販売台数が急増している。20年にドイツでは前年に比べ約3倍の19万台、フランスでは同2.5倍11万1000台、英国では同2.9倍の10万8000台のEVが販売された。

 例えば、ドイツでは1km走行当たりのCO2排出量が50g以下、または電力による航続距離が40km以上のEVまたはPHVの購入者に対し、補助金を設定。新型コロナ危機を受け、新しいEVを購入する場合の補助金の上限額が6000ユーロから9000ユーロに、新しいPHVを購入する場合の上限額が4500ユーロから6750ユーロに引き上げられた。これが販売急増を支えている。

スウェーデン、欧州最高のPHV比率でボルボも好調

 今後、EV販売比率が高まりそうな国はどこか。今、欧州で注目されているのが、スウェーデンとオランダだ。

 スウェーデンは20年にEVとPHVの販売台数が急増。これらの合計の比率は新車全体の32%に達し、特にPHVの販売が伸びているのが特徴だ。EVアナリストのマティアス・シュミットが運営する「シュミット・オートモーティブ・リサーチ」の統計データでは、21年1~4月期にはスウェーデンでは新車販売に占めるPHVの比率が28%に達した。これはノルウェーと並び、欧州で最も高い比率だ。

 これが要因となり、地元メーカーであるボルボのPHVの販売が伸びている。シュミット・オートモーティブ・リサーチの分析によると、21年4月に西欧諸国で最も売れたPHVは、ボルボの「XC40」だった。ボルボが電動化を加速しているのは、こうした背景もありそうだ。

ボルボのPHV「XC40」は21年1~4月に西欧諸国で約1万7000台を販売し、ベストセラーPHVとなっている
ボルボのPHV「XC40」は21年1~4月に西欧諸国で約1万7000台を販売し、ベストセラーPHVとなっている

 オランダもEV比率が急伸している。20年は新車販売に占めるEVとPHVの比率が25%に達した。

 オランダは充電設備が充実している。人口は約1700万人ながら公共の充電ステーションが20年末に約6万6000カ所と欧州最多となり、人口当たりの充電ステーションの数も欧州首位だ。充実したインフラを基盤に、EV販売がさらに伸びると見込まれている(充電インフラについても今後触れていく)。

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