主要7カ国首脳会議(G7サミット)の写真撮影に参加した菅義偉首相(写真中央)。初参加のためか表情は硬い場面が多かった(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 「ワクチン」「温暖化対策」「中国」。6月11日に英南西部のコーンウォールで開幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)の主な議題はこの3つだった。共同宣言でも、これらの内容が注目を集めた。

 新型コロナウイルス用のワクチンについては、2022年にかけて途上国に10億回分のワクチンを供給することで合意。22年までに感染拡大を収束させるという目標を設定した。

 温暖化対策では、各国が30年代に国内電力システムを最大限脱炭素化することを示した。また途上国支援のため、先進国が25年までに官民で年間1000億ドル(約11兆円)を拠出する目標を確認し、この総額を増額することに合意した。

 いずれも途上国支援で存在感を示す中国へのけん制の意味合いがある。中国はアフリカ諸国など途上国にワクチンを供給し、関係性を深めている。G7は国ごとの支援の他に、連携でまとまった量のワクチンを供給し、途上国との関係強化を図る考えだ。

 また、英フィナンシャル・タイムズによると、ジョンソン英首相は途上国への温暖化対策支援について「グリーン一帯一路」と呼んだ。中国が広域経済圏構想「一帯一路」で、途上国へのインフラ投資を進めているため、G7としても温暖化対策支援でくさびを打ち込む狙いがありそうだ。共同宣言では中国を名指しし、「世界経済の公正で透明性のある作用を損なう非市場主義政策及び慣行という課題に対する共同のアプローチについて協議する」と明記した。

 これらの議論の中で見逃せないのは、産業育成の視点だ。途上国での温暖化対策への投資は、グリーン産業の育成を促すことになる。G7は「世界のグリーン成長を加速する」と述べている上に、ジョンソン首相は「G7には世界的なグリーン産業革命を推進する前例のない機会がある」と明確に述べている。

 この流れは、欧州企業の成長を後押ししそうだ。自動車やエネルギー、金融などの分野でグリーン産業をリードしつつあるからだ。

続きを読む 2/2 日本の温暖化対策ビジネスの苦しさが浮き彫りに

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