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 新型コロナウイルスの流行(パンデミック)を受け、中国では1月から、欧州各国では3月から外出が制限され、ほとんどのオフィスワーカーが在宅勤務(リモートワーク)に入った。感染拡大のピークが過ぎた国では今、コロナ後の働き方やオフィスのあり方を模索している。

 新型コロナによる死者数が4万人を超えるなど被害がとりわけ大きい英国では、ロックダウンが段階的に解除されても、ロンドンのオフィスに従業員が戻っていない。特に英国経済をけん引する金融業は従業員が多く、その傾向が顕著だ。

 東京と同じく過密都市である英ロンドンは今後、どのような働き方に軸足を移し、オフィスにあり方はどのように変わるのか。「コロナ後のオフィス」の第2回は、金融機関を中心にオフィスの再開に苦慮する企業を取り上げる。

目次(予定)
第1回:「通勤が怖い」。静寂のロンドン
第2回:英金融マン「もう高層ビルには戻れない」
第3回:ロンドン脱出組が急増。不動産価格の急落も
第4回:リンダ・グラットン教授「悪い習慣見直しの好機に」

 英ロンドンが誇る金融街がもぬけの殻になっている。6月8日朝、ロンドン東部にある新金融街カナリーワーフを歩いた。

 ロンドンの金融街というと「シティ」のイメージが強いかもしれないが、シティの賃料が高騰し面積拡大の余地がなくなったことから、2000年代から多くの金融機関や格付け機関、会計事務所などがカナリーワーフに本社機能などを移している。この地区では、金融関係者を中心におよそ12万人が働く。

ロンドンの新金融街カナリーワーフには英バークレイズグループや英HSBCホールディングス、米シティグループなどの超高層ビルがそびえ立つ

 平時はスーツを着込んだビジネスパーソンがビルの間をさっそうと歩く姿をよく見かけるが、そうした姿はほとんどなかった。人が少ない分、警備員や清掃員たちの姿が目立つ。

 見上げると、空に向かって巨大な超高層ビルがそびえ立っている。中でも一際目立つのが、英バークレイズグループ、英HSBCホールディングス、米シティグループのオフィスビルだ。バークレイズとHSBCは本社をここに構える。

 英国が3月中旬に都市封鎖(ロックダウン)を発表してから、金融機関に勤める従業員たちは一斉に在宅勤務に入った。前回も触れたが、ロンドンにはリモートワークの環境を整えている企業が多く、オフィスを離れても大きな支障は出ていないようだ。焦点は、今後の働き方やオフィスのあり方に移っている。