
自動車販売における電気自動車(EV)の比率がダントツに高い「EV普及先進国」のノルウェーで、EV販売シェアの上昇が加速している。
2021年通年では、新車販売台数に占めるEVの比率が64.5%、プラグインハイブリッド車(PHV)が21.7%だった。それが22年に入ってEV販売が急増し、PHVの販売が急減。3月の販売比率ではEVが86%まで上昇する一方、PHVは5.8%まで下落している。
きっかけは税制の変更だ。22年からPHVを購入する際の税率が上がり、PHVからEVへの流れが起きた。
ノルウェーEV協会のアドバイザーであるラーズ・ゴッドベルト氏は、22年通年のEV販売比率について「今の勢いを考えれば、80%台の中盤から後半になる」と予測する。ノルウェー政府は25年に新車販売の全てを排ガスゼロ車にする目標を掲げているが、その目標に着々と近づいている。
同国は2000年ごろからEV普及のために様々な制度を導入してきた。EVには道路関連税を免除したり、バスレーンの通行を許可したり、廃止された制度もあるが多種多様なメニューを用意してきた。背景には大気汚染の軽減のほか、水力発電由来の比較的安価な再生可能エネルギーの利用を促すなどの狙いがあった。

様々なEV優遇策の中でも特に効果的だったのが、税制優遇だ。エンジン車には重い取得税や付加価値税(VAT)を課すのに対して、EVはこれらの負担をゼロにした。その結果、相対的にエンジン車よりEVの方が安くなった。消費者にとってEVが「お買い得」になったのだ。こうしてノルウェーのEV販売比率は急上昇し、世界の中でダントツの1位となった。
このノルウェーのEV市場は、メーカーの勢力争いの先行指標になってきた。テスラの躍進は、10年代からお膝元の米カリフォルニアと共にノルウェーで始まっていた。そのノルウェーでは今、どのような変化が起きているのか。ノルウェーの首都オスロでEVの現実を追った。
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