自動車産業に衝撃を与えるコントラストだった。

 新型コロナウイルスの流行で欧州の自動車販売台数が急落した。欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州主要18カ国の2020年1~3月の新車販売台数は前年同期比27%減の276万台だった。都市封鎖(ロックダウン)で販売店の営業を禁止している国が多かったため、特に3月は前年同月に比べ53%減少した。

 その一方、電気自動車(EV)の販売が急増した。ACEAによると主要18カ国の20年1~3月期のEV販売台数は前年同期比57%増の12万7331台だった。特に新型コロナの感染者が多い主要国でも販売が急増した。イタリアが同4.5倍、英国が同3倍、フランスが同2.5倍、ドイツが63%増、スペインが43%増。全体に占めるEVの割合は4.6%で、前年同期の2.1%から大幅に伸びた。

 また、20年1~3月のプラグインハイブリッド車(PHV)の販売台数は9万6073台と、前年同期に比べ2.2倍となった。EVとPHVを合計した電動車のシェアは8.1%に達する。

英ロンドン中心部には多くのEVが集まる
英ロンドン中心部には多くのEVが集まる

 多くの国がロックダウンを実施している中で、なぜEVやPHVの販売が伸びたのだろうか。

 理由の1つは、販売ルートにある。欧州で販売が伸びるEV専業の米テスラはネット販売に力を入れているため、他の大手メーカーより販売減の影響が小さかった。ロックダウン期間中の4月に英国で最も売れた自動車はテスラの中型EV「モデル3」だった。

 ネット販売と共に大きな要因だったのがリース販売だ。自動車通勤が多い欧州では企業がリース契約した自動車を社員に割り当てるケースが多い。その際、CO2排出量を削減するためにEVを選ぶケースが増えており、必然的にEVの販売が伸びている。一般的に社員は、販売店を訪れて試乗するのではなく、カタログなどの情報を基にクルマを選ぶので、新型コロナ流行の影響が比較的小さい。

 欧州の自動車リース大手のリースプラン(オランダ)は、19年時点で既に新車リースの7.4%がEVだ。30年にはこれを100%にする目標を掲げる。同社は企業のリース契約を基に欧州各国の自動車タイプごとのコスト比較を公表している。それによるとノルウェーとオランダでは、税制優遇などでEVのコスト競争力がエンジン車とほぼ同等になっている。英国とスウェーデンではEVとエンジン車のコスト差が縮まっている。

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