EUは存続の危機に直面すると警鐘

 欧州経済の危機は深刻だ。世界各国が大きな影響を受けているものの、欧州は特に大きなダメージを受けそうだ。国際通貨基金(IMF)が新型コロナの感染拡大で修正した4月の予測によると、2020年の世界経済の成長率はマイナス3%で、欧州はマイナス7.5%。主要な地域別では最も大きなダメージを受ける。

 欧州はコロナ危機の前から低成長が予測されており、そこに各国の感染拡大とロックダウンが追い打ちをかけた。また、米国のように巨大なテクノロジー企業がなく、景気回復のけん引役が見つかりにくいという事情もある。

 その中でも特にイタリアとスペインの傷は深い。イタリアは5月4日から段階的にロックダウンを解除していくが、およそ2カ月間にわたり、経済活動が停止した。スペインも同様にロックダウンが2カ月ほど続き、サンチェス首相は「20年は12カ月ではなく、10カ月もしくは9カ月しかない」と発言している。IMFによると20年の経済成長率はイタリアがマイナス9.1%、スペインがマイナス8%で、欧州の中でも突出して落ち込み幅が大きい。

 そのため、両国首脳は早くからEUに支援を求めてきた。イタリアのコンテ首相は、4月上旬の英BBCのインタビューで、EUが新型コロナウイルスで打撃を受けた加盟国向けの支援策で合意できない場合、EUは存続の危機に直面すると警鐘を鳴らした。サンチェス首相は「とてつもないスケールの景気後退が迫っており、EUによる規格外の支援が必要だ」と述べている。だが、EUはここでも十分な支援に動き出せていない。

コロナ債で南北対立が鮮明に

 EUは23日、首脳会議を開催し、今後の経済復興を議論し、経営難に陥った航空会社や製造業などを支援するために、欧州復興基金の創設で合意した。

 だが、基金の規模や財源については意見が対立し、結論を持ち越した。財源の1つとして、イタリアやスペイン、フランスが求めたユーロ共同債(コロナ債)は、ドイツやオランダなどの反対で合意できなかった。

 コロナ債とは、財政基盤が弱いイタリアやスペインが単独ではなく、ユーロ圏諸国全体の信用力で資金調達をするものだ。しかし、財政が健全な北部の国々が南欧の借金を肩代わりすることになるため、根強い反発がある。

 EUからの手厚い支援の見通しが立たない中で、イタリア財政は綱渡りの状況が続く。公的債務が膨らみ、イタリア国債の利回りは上昇している。大手格付け会社の信用格付けで、イタリア国債は投機的格付けである「ジャンク級」の一歩手前でかろうじて踏みとどまっている状況だ。

 イタリア国債がジャンク級の寸前で止まっている1つの理由は、欧州中央銀行(ECB)が3月に国債などを約7500億ユーロ(約87兆円)追加購入すると決めたことだ。ECBは4月30日の理事会で、資産購入規模の拡大を見送り、危機の深刻化に備えている。

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