ボルボ・カーの電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の販売が伸びている。3月の全世界における販売台数は前年同月比62%増の7万5315台で、そのうち26%をEVとPHVが占めた。欧州ではその比率が39%に達する。

 同社は2030年までに全ての新車をEVにすると宣言したが、その達成は容易ではない。ボルボは内訳を開示していないが、現状ではPHVの販売が多いとみられる。EVはPHV以上に電池が必要であるため、コスト削減が喫緊の課題だ。また、EV専業という点では、テスラというパイオニアがいる。EVの性能を高め、テスラにどのように対抗するのか。沸騰・欧州EVシリーズの第5回として、ボルボのヘンリク・グリーンCTO(最高技術責任者)に話を聞いた。

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ボルボはEVとPHVの販売が伸びています。これまで、どのような戦略で電動車を開発してきましたか。

ヘンリク・グリーン氏(以下、グリーン氏):ボルボはPHVの販売からスタートしました。欧州や米国やアジアなど世界各国で、二酸化炭素(CO2)排出削減の規制に対応してきました。ボルボは、その動きの中でもかなり早い時期に、PHVを主軸とする決断をしました。世界的なディーゼル導入の動きや、他社が選んだ他の代替燃料を追うことはせず、PHVに集中したのです。

 それから、ボルボは電子機器や電池、充電などの技術について研究を重ねました。そして数年前に、温暖化ガスの排出を実質ゼロにできる最善の自動車はEVであると決断したのも、私たちには自然な流れでした。第1世代としてまずPHVをつくり、そして第2世代でEVに移行する戦略を描きました。

ヘンリク・グリーンCTO。1973年、スウェーデン生まれ。大学でコンピューター・エンジニアリングを学び、96年にボルボ・カー入社。2016年、同社役員に就任

ボルボのエンジニア全員がEV開発のみに関わる

ボルボは2030年までに全ての新車を電動化すると発表しました。新しいエンジンの開発には時間がかかると思いますが、いつ開発をやめますか。

グリーン氏:実は、すでに内燃エンジンに費やしていたエンジニアリソースを分解し、別会社のPES(Powertrain Engineering Sweden)に移しています。PESは、内燃エンジンとハイブリッドの技術を開発し、浙江吉利控股集団グループ全体を支えます。また、そうした技術を必要とする外部の企業にもサポートを提供します。そのため現在、ボルボのエンジニアは全員がEV開発のみに関わっています。

非常に明快な戦略です。確認しますが、全てのエンジニアがEVの開発に携わっているということですね。

グリーン氏:その通りです。

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