2年前には考えられなかった光景が広がっている。英ロンドンを代表するショッピング街「リージェント・ストリート」。4月21日、ファーストリテイリングが1900平方メートルの店舗面積のある大型店をオープンさせた。欧州では「ユニクロ」と「セオリー」の初めての併設店である。

 初日は平日で学校があるということもあり、学生たちの姿は見かけなかったが、女性を中心に多くの買い物客でにぎわっていた。ダウンやヒートテックインナーなどの定番品だけではなく、幅広い品目を購入していた。

 40代の女性は、子供用のズボンとレギンスを購入した。「子供服を買いたかったのでいい機会だった」と話す。初日の購入者には、靴下とエコバッグに加え、リサイクル生地で作られた風呂敷のプレゼントがあった。

4月21日、英ロンドンのショッピング街「リージェント・ストリート」にユニクロの旗艦店がオープンした
4月21日、英ロンドンのショッピング街「リージェント・ストリート」にユニクロの旗艦店がオープンした

 20年2月ごろから英国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、人々の行動は大きく変わった。リージェント・ストリートにはスペインの「ZARA」やスウェーデンの「へネス・アンド・マリウッツ(H&M)」などのファストファッションが大型店を構えるが、ロックダウン(都市封鎖)で行動制限が実施され、買い物客が消えた。地価の高いロンドンでも特に高いエリアであるため、家賃支払いに苦しみ多くのテナントが撤退することが懸念されていた(参照:「欧州の金太郎飴のショッピング街、新型コロナで個性を取り戻すか」)。

 実際、ユニクロが新店舗を出店させた場所は、英アパレル「スーパードライ」が店を構えていた。同社は経営難もあり、リージェント・ストリートの大型店を引き払った。不動産の専門家は、「今後、ショッピング街に大型店を出店していく潮流は減少していくだろう」と予想していた(参照:「コロナ後のオフィス(1)『通勤が怖い』。静寂のロンドン」)

 だが、昨夏から新型コロナの行動制限が緩和され、リージェント・ストリートに買い物客が戻っている。下の写真を見比べてほしい。ロックダウン期間中との比較であるため当然ではあるが、この日は平日の昼時ながら多くの買い物客でにぎわっていた。英国は特に早かったが、欧州各地で行動制限が緩和され、消費が回復しつつある。

左は20年4月、新型コロナの感染拡大でロックダウン中のリージェント・ストリート。ほぼ同じ場所から22年4月21日の様子を撮影した(右)
左は20年4月、新型コロナの感染拡大でロックダウン中のリージェント・ストリート。ほぼ同じ場所から22年4月21日の様子を撮影した(右)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした状況を受け、ファストファッションも勢いを取り戻している。いくつかの店舗を閉店したものの、リストラを進め各社の業績は回復基調にある。ZARAを運営するインディテックスは、22年1月期の連結純利益が前期に比べ93%増の32億ユーロ(約4450億円)、H&Mは21年11月期の純利益が、前年同期に比べ約9倍の110億スウェーデンクローナ(約1500億円)だった。

次ページ 欧州は前年同期の赤字から大幅な黒字に