欧州のサッカー強豪クラブが4月18日に創設を発表した「欧州スーパーリーグ(ESL)」が、様々な反発や混乱を招いている。欧州のサッカーファンやサッカー協会が激しく反発し、20日夜に当初は参加を表明していたイングランドの6クラブ(通称「ビッグ6」)がESLからの脱退を表明した。

4月20日の英プレミアリーグの試合前。ファンたちが欧州スーパーリーグ創設に反対するデモを繰り広げた(写真:ロイター/アフロ)

 欧州のプロサッカーは基本的に国内リーグと、欧州各国リーグの上位クラブが対戦するチャンピオンズリーグと欧州リーグで成り立つ。ESLには当初、イングランドの6クラブ、スペインの3クラブ、イタリアの3クラブの合計12クラブが参加を表明した。これに3チームを加えた15クラブが固定メンバーとなり、合計20クラブで優勝を争う構想だ。

新型コロナでビッグクラブの収益減少

 ESL創設の背景には、ビッグクラブの経営問題がある。新型コロナウイルスの感染拡大で、20年3月頃から試合が中止となり、再開後も無観客試合が続いたため、観戦チケットの販売収入などを上げられず、収益が大きく減少した。米デロイトの調査によると、19~20年シーズンの収入ランキングで上位20チームの売上高は計82億ユーロ(約1兆600億円)と前シーズンに比べ12%減った。

 ESLは強豪クラブのみのリーグとなり、注目度が高いため観戦料や放映権などで大きな収益増を期待できる。英フィナンシャル・タイムズは米JPモルガン・チェースがESLに出資し、参加クラブは2億~3億ポンド(300億~450億円)のボーナスを得ると報じた。固定メンバーをESLから降格させる仕組みがないため、参加クラブは安定収入が見込まれる。19日、上場するクラブの株価は軒並み上昇した。

 ESL初代会長に就任したレアル・マドリードのペレス会長は、「サッカーは40億人以上のファンを抱える世界で唯一のグローバルスポーツで、ビッグクラブとしての責任は彼らの要望に応えることだ」と声明で述べた。

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