イタリアより1000人当たりのベッド数が少ない英国

 今後の感染拡大を考える上で気になるのは、英国とイタリアに類似点があることだ。1つは原則外出禁止の措置を実施するタイミングだ。

 前述のとおり、両国は新型コロナによる死者が233人に達したほぼ3日後に外出禁止を実施した。イタリアでは10日、英国では23日夜(実質的に24日)だった。今のところ両国の死者数の増加曲線は重なっている部分が多い。外出禁止を実施する前に感染が広がっている可能性があるため、英国でもイタリアのようにさらに感染が拡大しても不思議ではない状況だ。参照:「新型コロナで致死率9.3%のイタリア、オーバーシュートの脅威

 ちなみに人口が6698万人と英国やイタリアとほぼ同規模のフランスは、外出禁止の措置が早かった。新型コロナによる死者数が127人だった16日に、外出禁止令を発表。すぐに警察による取り締まりを強化するなど、厳しい対策を実行している。

 もう1つの類似点は脆弱な医療体制だ。経済協力開発機構(OECD)によると英国の1000人当たりの病床数は2.5と、イタリア(3.2)より少ない。両国は日本の13.1には及ばないのはもちろん、OECD平均の4.7を大きく下回り、医療体制に不安がある。緊縮財政の中で、医療関連予算を削ってきた点も似ている。

 24日時点で英国の新型コロナによる致死率は5.2%に達した。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、致死率の世界平均は4.5%だ。致死率の高い国は、イタリア(9.9%)、イラン(7.8%)、スペイン(7.5%)と続き、英国は4番目に位置している。

 日本では当初、突然の臨時休校措置に批判が集まり、その最中にマイルドな対策を打ち出した英国を支持する声もあった。英国の対策が後手に回り、爆発的な感染拡大を引き起こしかねない現状は、医療体制が英国より充実する日本にあっても、油断や対策の遅れが致命傷になり得ることを示唆している。

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