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本当に検査数は多いのか

 医療崩壊が起きている理由として、病院が軽症の感染者を多く受け入れてしまった点が挙げられている。初期症状の患者の検査を実施せず、その感染が明らかになるまでその患者が感染を拡大させてしまったことが、当初、イタリアでも大きく取り上げられた。その反省からか、病院での検査を積極的に実施したことで、院内などで感染を拡大する悪循環に陥ったとの指摘がある。

 だが、ここで疑問が生じる。検査をしても軽症の感染者が多いのならば、致死率は下がるはずだ。むしろ、イタリアが突出して検査数が多いというわけではない。人口当たりの検査数で見ると、韓国は100万人当たり4000人近くも検査をしているのに対して、イタリアは1000人以下でスイスやドイツと大差はない。

 イタリアは比較的症状が重い人のみを検査しているという見方もある。ロンバルディア州の高齢者向けのクリニックに勤めるカサニ医師は英タイムズ誌に「潜在的にはもっと感染者が多いが、対象を重症者に絞っているため致死率が高くなっている」と語った。

 先のベルギーの医師も、疑問を呈する。「死者や集中治療室に入っている人を含めた重症化率が他国よりあまりに高い。数字上の間違いか、他の地域と同じウイルスなのか疑問を持たざるを得ない」と話す。

 新型コロナ以外の理由による死者が含まれているのではないか、との疑問がある。ただ、現場の医師の証言では重度の肺炎患者が多く、何らかの形で新型コロナに関連した死者が多いようだ。

 WHOは11日、新型コロナについてパンデミック(世界的な大流行)と認定し、中国以外での感染拡大に強い懸念を示し、各国に対策強化を促した。イタリアの医療現場の窮状に対して、普段なら周辺各国から援助に駆けつける動きもあり得るが、今は欧州各国も自国民の検査や医療体制の維持に懸命で余裕がない状況だ。

 イタリアは国内病院でICUの受け入れ能力が限界に近付いており、これ以上は受け入れられないと見られている。医療現場の負荷を軽減することが生命線となるため、軽症の患者の自主隔離を徹底し、感染者を増やさないために人々の移動を大幅に制限している。日本や世界各国がイタリアのようにならないためには、医療崩壊への対策と危機意識を周知徹底することがより重要になりそうだ。

[追記:2020年3月13日 19:25]本文中で紹介したイタリアの現地メディア、イル・ジョルナーレの記事に対し、病院側は事実ではないと別の現地メディアで反論した。今のところ真偽は明らかになっていない。