11年ぶりに石油需要の減少に

 石油需要の急減の要因は何か。ビロル事務局長は9日の記者会見で2つの要因を挙げた。1つは、中国の需要減だ。19年の需要の伸びの8割を中国が占めたが、20年は新型コロナの発生源となり石油需要が急減しているためだ。

 2つ目は、世界的な移動の制限だ。企業の出張自粛などで航空需要が急減している。例えば独ルフトハンザ航空は5日、グループ全体で3月の欧州便7100便を運休にすると発表。感染が拡大しているイタリアのほか、イスラエル便も休止する。欧州以外でも中国やイランへの便も4月下旬まで停止する計画を明らかにしている。

 国際航空運送協会(IATA)は5日、新型コロナが広範囲で拡散した場合は、20年に世界全体の旅客数が大幅に減少するという予測を出した。こうした状況を受けて、IEAは2020年の石油需要の見通しを大幅に引き下げ、11年ぶりに前年を下回ると発表した。

強気崩さぬサウジアラビア

 

 石油価格の急落はサプライズだったため、金融市場は激しく動揺した。今後はどうなるのだろうか。あるマーケットアナリストは、「他国に比べ生産コストの安い油田を多く持つサウジは減産に応じない。さらに増産に踏み切り、石油価格が下落する可能性がある」と指摘する。

 さらなる原油価格の下落は、株式市場や債券市場に連鎖反応を引き起こしかねない。また、1バレル=30ドル前後という水準は産油国の財政均衡価格を下回り、財政が急速に悪化する国も出てくる。自国第一のエゴのぶつかり合いが、新型コロナで苦しむ世界経済をさらに悪化させようとしている。

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ウェビナー開催、「なぜ世界はEVを選ぶのか」(全2回)

 日経ビジネスLIVEでは2人の専門家が世界のEV事情を解説するウェビナーシリーズ(全2回)を開催します。

 9月30日(金)19時からの第1回のテーマは「2035年、世界の新車6割がEVに 日本が『後進国』にならない条件」。10月14日(金)19時からの第2回のテーマは「欧州電池スタートアップのCTOが現地報告、巨大市場争奪の最前線」です。各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。


■第1回:9月30日(金)19:00~20:00(予定)
テーマ:2035年、世界の新車6割がEVに 日本が「後進国」にならない条件
講師:ボストン コンサルティング グループ(BCG)マネージング・ディレクター&パートナー滝澤琢氏

■第2回:10月14日(金)19:00~20:00(予定)
テーマ:欧州電池スタートアップのCTOが現地報告、巨大市場争奪の最前線
講師:フレイル・バッテリー(ノルウェー)CTO(最高技術責任者)川口竜太氏


会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
主催:日経ビジネス
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。

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