ロシアがウクライナに侵攻してから、国境を越え隣国に逃れる避難民が増え続けている。ウクライナの人々はどのように戦争から逃れてきたのか。隣国はどのように受け入れているのか。その最前線を追った。

 3月2日、ウクライナ国境に近いポーランド東部のプシェミシル駅は、ウクライナからの避難民たちでごった返していた。国境を越える列車に乗ってきた避難民たちが重い足取りでプラットホームに降りてくる。

 ポーランド東部のプシェミシル駅では、ウクライナ難民たちがいたわり合っていた(写真:永川智子)
ポーランド東部のプシェミシル駅では、ウクライナ難民たちがいたわり合っていた(写真:永川智子)

 「怖くて悲しくて仕方なかった。なんで私たちがこんなひどい目にあうのか」。ポーランドの国内線に乗り換えるために、駅構内で列車を待っていたエリーナさんは、憤りながら話した。首都キエフ在住で、ロシア軍の攻撃が強まる中、命からがら列車に飛び乗り逃げてきた。「まさかキエフが攻められるとは思わなかった」ため、十分な準備ができないまま家を飛び出した。

 混乱の中で、電車も大幅に遅延している。一旦、降りたウクライナ西部リビウからは通常、2時間半ぐらいで国境を越えられるが、約9時間かかったという。すし詰めでトイレも少なく、とても寒かったという。エリーナさんは「夫は国を守るためにウクライナに残っている」と話しているうちに涙目になってくる。疲労困憊の7歳の息子は、駅構内のフロアに横になり荷物を枕にして眠ろうとするが、混雑した構内で眠りづらそうだ。

ウクライナからの列車が到着すると、駅構内は難民たちであふれかえる(写真:永川智子)
ウクライナからの列車が到着すると、駅構内は難民たちであふれかえる(写真:永川智子)

 駅構内は疲れ果て、途方に暮れる人たちであふれかえっている。放心状態でその場に座り込んでいる避難民も多い。そのほとんどが女性と高齢者、子供だ。ウクライナ政府はロシア軍と戦うために、原則18歳から60歳までの男性の出国を禁じたため、駅構内では父親のいない家族たちの姿が目立つ。

駅構内では女性と子供が大半を占める。避難に疲れ果て、ベンチで眠る人も多い
駅構内では女性と子供が大半を占める。避難に疲れ果て、ベンチで眠る人も多い

 シリア難民など世界で難民を支援する団体の関係者は、「他の紛争地帯では全ての男性が戦闘に加わるわけではないので、避難してくる家族にもっと男性がいる。ウクライナ難民の特徴の1つは、国を挙げた戦争で男性が戦争に駆り出され、家族が引き裂かれているという点だ」と指摘する。現場ではボランティアの男性たちが避難民たちの幼子を抱っこしたり、荷物を運んだりしている。

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