ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ東部の2地域について独立を承認したと発表した。(写真:ロイター/アフロ)
ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ東部の2地域について独立を承認したと発表した。(写真:ロイター/アフロ)

 ロシアのプーチン大統領は2月21日、ウクライナ東部の2地域について独立を承認したと発表した。2つの地域とは親ロシア派武装勢力が実効支配する「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」で、それぞれが一方的に独立を宣言したものの、国際社会は承認していない。プーチン大統領は同日、2地域の平和維持の名目で、ウクライナ東部に軍隊を派遣する大統領令を発した。

 ロシアと西側諸国の間には、ウクライナ東部紛争の和平案「ミンスク合意」の履行に一線があり、プーチン大統領はその一線を越えた。英国のジョンソン首相はミンスク合意に反するとし、「明らかな国際法違反だ」と批判。米国のバイデン大統領は、独立承認した地域との新規投資や貿易に対する米国人の関与を禁じるという経済制裁を発動した。

 今後、ロシア軍とウクライナ軍が衝突した場合、両陣営に甚大な被害が及ぶ可能性が高い。ウクライナでは一般の人々も巻き込まれる可能性があり、数万人の死者や数百万人の避難民が出るとの予測もある。

 欧米メディアによると、ロシアの軍事侵攻に備えて戦闘訓練に参加するウクライナ市民が急増しているという。実際、14年に首都キエフで親欧米の市民などがデモを繰り返し、親ロ政権を崩壊させた。その際には、親ロ政権の警察から銃撃などの激しい弾圧を受け、多くの犠牲者を出しながらも徹底抗戦した。ロシアが軍事侵攻をすれば、徹底抗戦することを表明している人は多い。

 経済面において、ウクライナは既に大きな損害を被っている。英シンクタンクの経済ビジネス・リサーチ・センター(CEBR)は、14年から続く紛争でウクライナの経済活動が停滞し、2800億ドル(約32兆円)の損害を被っていると試算した。本格的な軍事衝突が起きれば、さらに経済的に大きな被害が及ぶ可能性が高い。

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