日産自動車と仏ルノーは2月6日、英ロンドンで記者会見を開き、資本関係の見直しで合意したと発表した。その中で大きなテーマになったのは、電気自動車(EV)の強化だ。日産はルノー設立のEV新会社「アンペア」に最大15%出資する。その中で、アンペアへの出資を検討すると表明したのは三菱自動車だ。世界で初めてEVを量産し、プラグインハイブリッド車(PHV)にも強みを持つ三菱自動車はどのような方針で電動化を進めていくのか。同社の加藤隆雄社長兼CEO(最高経営責任者)がロンドンで、日経ビジネスの単独インタビューに応じた。

世界の電動化の需要動向をどのように見ていますか。
加藤隆雄社長(以下、加藤氏):今後の需要を読むのが非常に難しくなりました。欧州連合(EU)は規制を強化して、EVを普及させようとしていますよね。
一方、お客様の本当の声を聞くと、PHVへの需要がかなり強いのが正直なところです。世界の自動車業界が一斉にEVに向いていますが、本当にそうなのか。もう少し見る必要があると感じています。
新型アウトランダーPHVは、大変評判がいい。日本では受注が好調です。オーストラリアでは2023年度に300台しか出せないと言ったら、3日で1000台の受注が入りオーダーストップになりました。カナダでも一気に8000台の受注で、供給が追いつかない状況です。カナダのディーラーと話すと、EVやPHV、HV(ハイブリッド車)の中ではPHVが一番いいと言っていました。欧州のディーラーもPHVが一番使い勝手がいいと話していました。
EVはコストがかさむので、利益率があまり高くない。一気にEVにいくのはリスキーだと思っています。
そうした中で5年後、10年後の需要をどのように見通していますか。
加藤氏:社内でも相当議論していますが、絞り切るのが難しいというのが今の結論です。EVは出さないといけませんが、その中でPHVをどこまでやるのかを議論しているところです。
様々なタイプのパワートレインを開発するために膨大なコストがかかります。自社開発として、どこに経営資源を集中させますか。
加藤氏:当社は最初にEVを量産しましたし、PHVはずっと開発しているので、幸いにも電動化の技術やノウハウが社内にあります。これから東南アジアにHVを投入しますが、開発はそれほど難しくありませんでした。
ただ問題は、地域ごとに規制が違うので、それに対応するのが大変です。例えば、PHVのエンジンをその地域の規制に適合させるのにコストがかかります。モデル数を増やす際に、ルノーさんから調達した方がいいと考えることもあると思います。
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