
配慮を重ねた記者会見だった。仏ルノーと日産自動車は2月6日、英ロンドンで会見を開き、資本関係の見直しで合意したと発表した。日本や英国、フランスのメディアのほか、アナリストが集まり発表を見守った。
従来はルノーが日産株の43%を保有していたが、これを相互に15%ずつ保有する形態に変更する。日本側から長年、「不平等条約」と言われ続けてきたことに配慮し、ルノー幹部は「対等な関係」という言葉を連呼した。
ボディータッチや笑顔で、終始和やかな雰囲気を作り出していた。会見前にはメディアが集まる場所にルノーのジャンドミニク・スナール会長とルカ・デメオCEO(最高経営責任者)が顔を見せ、旧知のメディア関係者などと談笑した。
会見が始まると、壇上ではルノーのスナール会長が進行役を務め、同社のデメオCEOと日産の内田誠社長兼CEO、三菱自動車の加藤隆雄社長兼CEOが体の触れ合うくらい近い間隔で座り、お互いに語り合い、笑顔を見せた。

ただ、今回の提携関係の見直しにより何が変わるのか、従来にない付加価値をどのように生み出すのかという点が明らかではなかった。会場からの質問もこの点に集中した。ルノーから日産への出資比率が下がるために、互いの結び付きが弱くなるのではないかという懸念に対して、デメオCEOは「出資比率を下げるのではなく、ゼロから15%に引き上げる」と反論した。内田社長も「我々はより多くのチャンスを見いだす」と強調した。
日産はルノー設立の電気自動車(EV)新会社「アンペア」に最大15%出資することを発表した。日産とルノーは南米市場で2車種のEVを発売するほか、インドでもEVを発売するという内容も盛り込まれた。
しかし、今や多くのメーカーが世界中でEVを発売する計画があるため、投入すること自体は珍しくない。発表された内容からは資本提携ならではのメリットを感じにくく、具体的なコストの削減効果や競争力の向上は未知数だ。
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