
英政府が欧州連合(EU)離脱後の進路を世界に示した。2月1日午前、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を正式に申請した。発足11カ国以外の国が参加を申請するのは初めてとなる。春から本格的な交渉に入る見通しだ。
このタイミングでの申請には意味があった。英国はおよそ1年前の2020年1月31日にEUから離脱。TPPへの参加申請で、EUのルールに縛られず諸外国と貿易協定を結んでいく姿勢を強調した。
加藤勝信官房長官は1日の記者会見で「歓迎している」と述べた上で、「TPPのハイスタンダードでバランスの取れた21世紀型のルールを世界に広めていくことは大きな意義があると考えている」と語った。
英国とTPP加盟国との貿易規模は大きくない?
英政府はEU離脱(ブレグジット)を経て、世界で経済や外交の機会を求めるという「グローバルブリテン構想」を推し進めている。ジョンソン英首相は政府声明の中で、「TPPへの参加申請は、世界的な自由貿易の熱烈なチャンピオンになるという我々の野心を表している」と述べた。
だが、TPP参加の経済効果には疑問符がついている。英国の19年の貿易額のうち、EUは47.3%を占めるものの、TPP加盟国は7.8%にとどまる。トラス国際貿易相は、31日の英BBC番組でキャスターから貿易規模が大きくないことを指摘されると、ややムッとした表情でこう話した。「TPP加盟国は今後成長し、貿易が拡大する可能性が高い」
国⺠投票でブレグジットが決まった16年から、英国とTPP加盟国との貿易は年平均8%伸び、19年には1110億ポンド(約16兆円)に達したという試算がある。英政府は特に成長著しい国として、メキシコとマレーシア、ベトナムの名前を挙げている。
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