英国の新型コロナウイルス感染者が減少している。英国は追加の規制を導入せず、1月4日には1日当たりの感染者が20万人を超えたが、8日以降は10万人を下回り続け、感染拡大のピークを越えたもようだ。2021年12月から積極的に進めた3回目のワクチン接種が奏功しているとの見方がある。

 新型コロナ禍下の日本と英国で生活すると、気になるのがマスク着用の習慣の有無だ。英国は日本に比べるとマスクを着用している人が圧倒的に少ない。なぜ、日本ではマスク着用率が高く、英国の人々はマスクを嫌がるのか。その背景を探ってみた。

英国では屋外でマスクを着用している人が非常に少ない。写真は1月中旬、サッカー観戦のためにスタジアム入場のチェックを受ける人たち(写真:ロイター/アフロ)
英国では屋外でマスクを着用している人が非常に少ない。写真は1月中旬、サッカー観戦のためにスタジアム入場のチェックを受ける人たち(写真:ロイター/アフロ)

 前回のコラムの記事(コロナ感染1日20万人超でも英国がむしろ規制を緩和する理由)でも紹介したが、英国のイングランドでは12月から公共交通機関や店内でマスク着用が義務化されている。それでもマスクを着用していない人が多い。

 公共交通機関では車両や時間帯にもよるが、5人に1人ぐらいの確率でノーマスクの人に出会う。スーパーマーケットや小売店でも同じような確率だ。違反者には200ポンド(約3万1000円)の罰金を科す仕組みがあるが、積極的に取り締まっているようには見えない。

 劇場ではマスク着用が義務化され、スタッフが何度も呼び掛けているにもかかわらず、マスクをしていない人は一定数いた。マスク着用率が意外に低いのが、飲食店だ。大手チェーンに行くとマスクを着用している人が多いが、個人経営の店などではノーマスクが目立つ。

 英国でマスク着用に関する特徴の1つは、「アゴマスク」である。マスクを首からアゴの部分にひっかけているだけで、鼻どころか口も完全に解放している。レストランの厨房やホールの店員などで「アゴマスク」は頻繁に見る。英国に住んでいるのでこうした状況にはある程度慣れているが、自分のオーダーしたコーヒーを作りながら、マスクをアゴにかけて大声で話しながら作っている状況を目の当たりにするのは、あまり気分が良くない。

 もう1つは、話すときだけマスクを外す人だ。普段はマスクを着用しているのに、話すときだけマスクをつかんでアゴに下げ、話す人もいる。これには「逆でしょ」と、突っ込みを入れたくなる。

 一方の日本では、ご存じの通りマスク着用率が非常に高い。昨年末に一時帰国した際に、マスク着用率の高さに驚いた。新規感染者数が非常に少ない時期だったが、屋外でもマスク着用率が高く、マスクを着用していないと周囲の人々の視線が刺さるような感じがした。

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