ワクチンシリーズの第1回で取り上げた英国で、必死の新型コロナウイルスワクチン接種が続いている。11日までに240万人が接種を受けた。それでも、2月中旬までに1500万人という目標の達成は難しいため、ジョンソン首相は13日、「24時間対応の接種センターをできるだけ早く開きたい」と語った。

 一方で接種が遅れているのが欧州連合(EU)加盟国だ。EUが一括してワクチンの調達契約を結び、それを各国に配分するという仕組みであり、接種が遅れている。最も人口が多いドイツですら、11日時点で接種は61万3000人にとどまっている。

 新型コロナの感染拡大に歯止めがかからないEU各国では、ワクチン接種をどのように普及させるのか。各国政府は頭を悩ませている。

■シリーズ「ワクチン」のラインアップ(予定)
第1回:英国、医療崩壊の懸念でリスク覚悟のスピード接種へ
第2回:EUの弱点が露呈、開発国ドイツで接種遅れにいら立ち
第3回:ドイツ勢に脚光、知られざるワクチン接種の裏方企業
第4回:ネットで拡大する反ワクチン主義
第5回:途上国の接種はどのように進むのか

ドイツ企業のビオンテックがワクチンを開発したが、国内では接種が遅れている(写真:ロイター/アフロ)
ドイツ企業のビオンテックがワクチンを開発したが、国内では接種が遅れている(写真:ロイター/アフロ)

 EUが新型コロナワクチンの接種拡大で苦戦している。EU各国で接種のペースが遅く、特にドイツではいら立ちの声が目立つ。ドイツでは年明け以降も新型コロナ感染による死者が1日当たり1000人を超える日があり、接種の拡大を急いでいる。

 ドイツでは製薬会社ビオンテックが、米ファイザーと共にワクチンを開発した。本来ならば優先的にドイツ国民への接種が進みそうだが、EUを通じて調達と供給を実施しているため、ドイツへの供給量が限られている。

 さらに、手続きとしてEUからドイツ連邦政府、州政府と供給されるため、スピード感を欠く。高齢者施設から接種を始めているため、なかなかペースが上がらない状況だ。

 ドイツ南西部のバーデン・ビュルテンベルク州では、約50カ所のワクチン接種センターを用意。1月15日から接種開始の予定だったが、供給量が足りず22日に延期した。連日、感染者や死者の増加が報じられ、医療崩壊がささやかれるなかで、接種遅れに対するドイツ国民の不満は高まっている。

 そもそも、同ワクチンに対する承認が、他国より遅かった。英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が2020年12月2日にファイザー・ビオンテック製ワクチンを承認したのに対し、欧州医薬品庁(EMA)のそれは同月21日だった。EMAは、「より多くのエビデンスに基づき、より多くの確認を要する」と発表し、MHRAのスピード承認を暗に批判したが、接種の遅れの一因になったのは確かだ。

続きを読む 2/2 フランスのマクロン大統領も接種ペースの遅さに怒り

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この記事はシリーズ「大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。