ホームセンター大手のDCMホールディングスが完全子会社化を目指し友好的TOB(株式公開買い付け)を実施中の島忠に、家具・日用品大手のニトリホールディングスが触手を伸ばしている。ニトリは敵対的買収になるのを覚悟で対抗TOBの準備を進めており、DCMとの間で島忠争奪戦になる可能性が出てきた。ニトリ参戦の報道を受けて島忠の株価は急上昇しており株主には朗報となった。一方、島忠の経営陣はDCM、ニトリ、そしてアクティビスト(物言う株主)の三方から包囲されるのは必至で、「困り果てている」(島忠関係者)ようだ。

島忠が展開するホームセンター、ホームズ。巣ごもりの需要をとらえている(写真:アフロ)
島忠が展開するホームセンター、ホームズ。巣ごもりの需要をとらえている(写真:アフロ)

 「ニトリが対抗TOBを仕掛けるというニュースを知ってびっくりした。ありがとうと言いたい」。自らが率いるファンドを通して島忠株を8%強保有している物言う株主、村上世彰氏は10月21日、日経ビジネスの取材にこう語った。村上氏はここ数年、ずっと島忠に投資し「経営陣と株主価値の向上を巡ってやりあっていた」という。

 島忠側は「いかに村上ファンドから逃れるかを考えていた」(島忠と取引のある金融機関関係者)。今回、DCMの完全子会社になることで株式市場から退出することも「村上対策から始まった帰結としてこうなった」(投資銀行関係者)との見方が強い。

 さらに村上氏は、DCMによるTOB価格は1株あたり4200円と、解散価値である株価純資産倍率(PBR)1倍を下回る金額となっていることに対し「これがベストプライスとは思えない。(他社からの買収提案など)きちんとほかのプランを検討したうえでDCMを選んだのか、その過程を示してほしい」と島忠に連日詰め寄っていた。株式市場関係者の間でも「TOB価格は安い」との声が大勢を占めるなか、DCMより高値を提示することが予想されるニトリの登場が報じられた。

 実は島忠は、アクティビストの間ではかなりの人気銘柄だ。東京ドームの社長解任を要求している香港のアクティビスト、オアシス・マネジメントも、今年初めの時点で6%以上の島忠株を保有しており、村上氏と同様に「(株主価値向上を求め)経営陣に対話を求めていた」(セス・フィッシャー最高投資責任者)。

 オアシスはその後、島忠がなかなか変化しないと見たためか、すべての株を売却してしまった。フィッシャー氏は22日、ニトリの登場で島忠株が高騰していることを受け「ちょっと売却を急ぎすぎてしまった」と話した。

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