米マクドナルドが日本マクドナルドホールディングス(HD)株の一部売却方針を明らかにした。現在は50%弱の株式を持つ筆頭株主だが、そのうち15%程度を売却するという。
引き続き拒否権がある3分の1強の株は保有し続けるというものの、「新型コロナウイルスで一段と業績が厳しくなれば、日本マクドナルドHD株をもっと売るかも」(外資系証券)と予想する声がある。早速、そのシナリオをにらんだ動きも水面下で出始めた。

米マクドナルドは7月28日、決算会見の場で日本マクドナルドHD株の売却方針を明らかにした。電話会見したケビン・オザンCFO(最高財務責任者)は「保有株式を段階的に減らす時期だと判断した」と述べた。
米マクドナルドは新型コロナの影響で4~6月期の売上高が前年同期と比べて3割減、純利益に至っては7割近い減益になるなど業績が急速に悪化している。日本マクドナルドHD株の売却で得た資金を米国店舗の閉店などのリストラ原資や、本体の財務強化に充てるとみられる。
15%分を丸ごと買い取る動きも
ただ株式の売却時期や手法は明らかにせず「日本株は取引量が少なく、売却に時間がかかる」(オザンCFO)とコメントするにとどめた。この言葉を額面通りに受け止めれば、市場で徐々に売っていく、とも読み取れる。実際、需給の悪化を懸念した売りが出て、日本マクドナルドHD株は7月28日終値の5690円から7月末には一時5000円割れ寸前まで売り込まれた。
一方、15%分の株式を丸ごと買い取れないか、という動きも水面下では出てきている。うごめき始めたのは外資系の投資ファンドや、アジア全域で食料品ビジネスを手掛けるアジア企業といった面々だ。
とはいえ15%の株を仮に取得できても「それだけでは別に何のうまみもない」(外資系投資ファンド首脳)。筆頭株主でもないため経営の主導権は握れず、その恩恵は限られるからだ。それに15%の株を取得するのに必要な費用も、時価総額が約7000億円ということから考えると1000億円強と巨額だ。
にもかかわらず、触手を伸ばすのはなぜか。
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