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(写真:PIXTA)

 青汁で知られるキューサイ(福岡市)が、再び岐路に立つかもしれない。全株式を持つコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスが、キューサイを売却する準備に入ったからだ。買い手は果たして現れるのだろうか。

 コカ・コーラはバークレイズ証券を雇い、キューサイ売却に向けたプレマーケティングを始めたようだ。まだ売却すると最終決定したわけではなさそうだが、どのような買い手がいて、どの程度の金額で売れるのか可能性を探るためとみられる。複数の投資ファンドなどが買収の打診を受けている。ファンド関係者や投資銀行関係者の見立てを総合すると、買収金額は300億~400億円あたりになるとの見方が有力だ。

 キューサイの2019年度の売上高は約250億円で、事業利益と減価償却費の合計額は40億円台前半。18年度と比べると減収減益になったとみられるが、利益率も悪くない。そんなキューサイをなぜコカ・コーラは手放そうとしているのか。それを理解するには、キューサイがコカ・コーラ傘下に入った10年まで遡らなければいけない。

 10年にキューサイを約360億円で買収したのは、同じ九州に地盤を持つコカ・コーラウエスト(17年にコカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンが経営統合し、コカ・コーラ ボトラーズジャパンに)だ。キューサイはMBO(経営陣が参加する買収)を実施し07年に上場を廃止していたが、コカ・コーラウエストはMBOの際に株主となった投資ファンドなどから全株を取得した。

共同開発商品はわずか1つだけ

 だが不特定多数を相手に売る清涼飲料メーカーと特定顧客を相手にすることが多い健康食品メーカーとでは開発や販売の手法が全く違う。当時のコカ・コーラウエストの吉松民雄社長は、買収発表の記者会見で「健康飲料の開発などで相乗効果を出したい」とする一方、「飲料と健康食品は全く別の事業」とも語っており、相乗効果が出るのか不安視する向きは多かった。

 案の定と言うべきか、その後、今に至る10年間で両社に大きな相乗効果が生まれたとは言い難い。共同開発商品はわずか1つ。「ミニッツメイド おいしいフルーツ青汁」だけだ。