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 M&A(合併・買収)の世界にも新型コロナウイルスの影響が出始めた。業績の急激な悪化や株価の急落を受け、世界中で様々な案件が中止や延期に追い込まれ始めており、今後もこうした動きが続々と出てくるのは間違いない。では逆に、こうした株価急落を受けて前に進むM&Aはないのだろうか。

 「今年はもう冬眠するよ…」。外資系の投資銀行でM&Aのアドバイスを手掛ける担当者はこうため息をつく。理由は新型コロナの蔓延(まんえん)だ。買収交渉の最終局面で必須のトップ同士の対面交渉が世界各国の移動制限でままならない上、買収価格を決めるのに必要な買収先企業のデューデリジェンス(DD)と呼ばれる資産査定業務も進まない。書面チェックだけなら可能だが、工場在庫の確認などの実地調査ができないためだ。

米ゼロックスは米HPへの敵対的TOBを撤回した(写真=ロイター/アフロ)