マンハッタンの42丁目にある検査場で列をつくるニューヨーカーたち(写真:ロイター/アフロ)
マンハッタンの42丁目にある検査場で列をつくるニューヨーカーたち(写真:ロイター/アフロ)

 日本も含め、世界各地で感染が急拡大している新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」。2021年11月に南アフリカで初めて報告されてから筆者の住む米ニューヨーク市に到達するのも時間の問題だと思ってはいたが、到達してから感染が爆発的に広がるまでが正直、ここまで早いとは想像していなかった。

 ニューヨーク市で初めて感染が確認されたのは12月2日だ。同市衛生局の集計によると、12月20日時点の1日当たりの新規感染者数(7日間平均)は1万2613人と、1週間前の約3倍に達している。また米疾病対策センター(CDC)は、12月18日時点にニューヨーク州やニュージャージー州などの都市部で確認された新型コロナ感染者のうち92%がオミクロン型だと見込んでいる。

感染者数の推移だけを見ると、多くの死者を出した20年4月の感染爆発時の2倍を超えている
感染者数の推移だけを見ると、多くの死者を出した20年4月の感染爆発時の2倍を超えている
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 一方で、オミクロン型の重症化リスクは低いとみる向きもある。南アフリカの研究機関は「重症化リスクはデルタ型に比べて7割低い」との結果を示したほか、英国の研究機関も「入院の可能性はデルタ型の約3分の1」との調査結果をまとめている。

 確かにニューヨーク市でも、現時点での1日当たりの入院者数(7日間平均)はデルタ型が流行したときに比べて3分の1程度に収まっている。

21年11月下旬から増加傾向にあるものの、以前のピーク時に比べればまだまだ低い水準
21年11月下旬から増加傾向にあるものの、以前のピーク時に比べればまだまだ低い水準
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 とはいえ油断は禁物だ。これまでの感染爆発時に比べて重症化事例が少ないとはいえ、入院者数や死者数(12月20日は市内だけで11人)がゼロではないし、入院者数に至っては拡大傾向にあることも事実だからだ。また、もしその入院者や死者が自分の大切な人だったら……と考えれば、感染拡大を防ぐ努力を惜しみたくはないものだ。

 こんな状況下、ニューヨークの街は今、オミクロン型の拡大を可能な限り抑えようとてんやわんや。ここからは、筆者自身が体験したり見聞きしたりした情報を中心に「ニューヨーク市のリアル」をお届けしたい。

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