米大統領選の投開票日から一夜明けてもまだ集計は終わらず、翌日の夜も更けようとしている。

 フロリダ州マイアミに住む知人が、こうした状況のことを「Nail biting」と言うのだと教えてくれた。はらはらして落ち着かないとツメをかむことから、こうした言い回しが生まれたらしい。

 ちなみにこの知人は63歳の白人男性で、根っからのトランプ支持者だ。ここ数日はあまりにドキドキするのでテレビ視聴を控えているという。奥様には「Big chicken(ものすごい弱虫)」とからかわれているそうだ。

 確かに次の大統領が誰になるかは気になる。国も企業と同じで、トップが誰になるかでそこに属する人々の様子は大きく変わることになるだろう。

 それでも筆者は、どちらが大統領になっても米国の現状は基本的に変わらないと考えている。というのも、華やかな大統領選の陰で目立ちこそしないが、同時に実施されている米議会議員選挙の結果のほうがよっぽど、米国内の情勢に大きな影響を与えると見ているからだ。

 11月4日の深夜時点で、議会議員選挙のほうも結論は出ていない。ただどうやら上院は共和党が、下院は民主党が過半を取りそうだというのが大筋の見方だ。本当にそうなれば、現在と同じ「ねじれ議会」が今後も続くということになる。現状を大きく変えるような法案を通すのは難しいままだ。

歩み寄らない共和党と民主党

 ねじれ議会のやっかいさは新型コロナウイルスの感染拡大で改めて「見える化」した。

 3月以降に米政府が発動した3兆ドル超の経済対策こそ両党は合意したが、夏から議論を進めてきた追加の経済対策については、初期の施策が一部失効しているにもかかわらず決裂したまま。支給が先延ばしになっている。

 基本的なことで改めて書くのも恥ずかしいくらいだが、法案の議会通過でもめるときの登場人物はざっくり3人だ。この3人を押さえておけばおおむね議論の情勢を把握することができる。

 1人は、言わずもがなトランプ大統領だ。大統領は議会と分立しているため直接は関係しないが、政権または所属党の代表として関わってくることが多い。特に大統領令を発動することの多いトランプ氏は、新型コロナでも「台風の目」だった。

 2人目が、下院の過半を占める民主党のナンシー・ペロシ下院議長だ。政権と対峙する立場にあるため、連日のようにメディアに登場して発言を繰り返してきた。

 最後が上院の過半を占める共和党のミッチ・マコネル上院多数党院内総務。上院議長は副大統領が兼務するため、多数党の院内総務が上院の実質的なトップとなる。ただ、政権が同じ党であるためメディアで取り上げられる場面は少なかった。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り787文字 / 全文1899文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「池松由香のニューヨーク発直行便」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。