米大統領選の投開票日が1週間後に迫ってきた。本シリーズ「米大統領選 サポーターたちの横顔」では、共和党のドナルド・トランプ米大統領、または民主党のジョー・バイデン前副大統領を熱烈支持する人たちの横顔にスポットライトを当てる。
今回の主役は、2019年公開のハリウッド映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」で怪獣の国際研究機関モナークに勤務する生物物理学者役を務めた米俳優、ブラッドリー・ウィットフォードさんだ。米国では1999~2006年にかけて放映され大ヒットした、米ホワイトハウスを舞台にしたテレビドラマ「The West Wing(邦題はザ・ホワイトハウス)」で大統領首席補佐官ジョシュ・ライマン役を演じ、一躍有名になった。
数多くのテレビドラマや映画に出演する傍ら、投票権を持つ人たちへの圧力を排除するための政治活動団体「Let America Vote」でアドバイザーも務める。
なお本シリーズでは全編にわたり、支持者たちのリアルな声をお届けするため、事実かどうか確認のできない主張もあえて個人の意見として取り上げる。ご了承いただきたい。
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俳優業で成功する傍ら政治活動家としても活躍する
ブラッドリー・ウィットフォードさん(Bradley Whitford、61歳)

俳優業で成功している上に政治活動家としても活躍されています。政治について発言するようになったきっかけを教えてください。
ブラッドリー・ウィットフォードさん(以下、ウィットフォードさん):難しい質問ですね……。
確かに俳優業をしていると自意識過剰になりがちです。「こんな発言をしては好感度が下がるのではないか」などと考えてしまい、発言するのをためらうこともあるでしょう。でも、そんなことは関係ないと思う出来事がありました。
私はクエーカー(キリスト教プロテスタントの一派でキリスト友会とも呼ばれる)信者の家庭に生まれ、小さな頃から社会との関わりを重視するよう教わってきました。特に興味を持ったのが政治です。
私は本当に恵まれていて、俳優になってから数々のヒット作に巡り合うことができました。ホワイトハウスを舞台にした「The West Wing(邦題はザ・ホワイトハウス)」では、演技の参考にするため何度もホワイトハウスの中に入ることを許されました。
当時のビル・クリントン大統領には会いましたし、ジョージ・ブッシュ氏には会いませんでしたが、彼の大統領首席補佐官を務めていたジョシュア・ボルテン氏には会うことができました。私は(ドラマの中で)「彼のフェイク」でしたので(笑)。
非常に興味深い体験ではありましたが、政治的発言をするようになったきっかけは、このドラマではありません。
私が3人の子どもを持ったのとちょうど同じ頃、米国はイラク戦争を開始しました。共和党のブッシュ政権時です。明らかに間違った行動だと思いました。「米国が私の理解できない方向に向かおうとしている」。そう感じ、もっと声を上げるべきだと思ったのです。
投票は「公共交通機関を選ぶ」感覚に似ている
民主党を支持されていますが、ジョー・バイデン前副大統領のことは大統領選の候補者選びが始まった当初から支持していたのですか。
ウィットフォードさん:と言うと……?(笑)
民主党支持の方々を取材したとき、多くが「自分が応援していた候補が途中で脱落したのでバイデン氏を支持する」と話していたので……。
ウィットフォードさん:私は民主党の思想を支持していて、誰の支持も正式には表明していません。ただ、バイデン氏のことは以前から応援しています。
ドラマの最中ではありませんでしたが、後にオバマ前大統領とも、バイデン氏とも何回かお会いしました。バイデン氏はとても賢く、かつ思いやりのある人物だと思いました。
左派の仲間たちと、こんな話をすることがあります。誰かに投票する感覚は、デートしたり結婚したりする相手を選ぶ感覚とは違う。公共交通機関を選ぶような感覚だ、と。自分はどこへ行きたいのか。その方向へ連れて行ってくれる候補者を選ぶからです。
この感覚が、私にはとても重要です。
民主党は誰が候補になっても大枠の政策や指針を共有しています。気候変動としっかり向き合い闘う、経済の不合理を正し、この国にいまだ残る人種差別も是正していく。どれも民主主義の基本的な考え方です。
民主党の候補者なら誰でも、この方向から大きく外れることはありません。でも、ドナルド・トランプ大統領は全く違います。彼は民主主義を好きではないし、独裁者を好んでいる。憲法の意味も理解できていない。
米国は今、とても、とても危険な状況にあります。
あなたの媒体の読者は日本のビジネスリーダーたちでしたよね? そんな読者の皆さんに、ぜひお伝えしたいことがあります。
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