(写真:AFP/アフロ)
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 米国のドナルド・トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し、10月2日に自身のツイッターでその事実を明かした。

 米国時間4日には、やはりツイッターに掲載した動画で「サプライズ」を予告。入院先のウォルター・リード軍医療センター周辺に集まった支持者らにクルマの後部座席から手を振った。

 現地メディアはこの行動を「クルマには運転手など別の人も乗車している。他人の安全を脅かしている」と批判した。

 手を振るトランプ氏の様子からは命の危険にさらされているようには見えないが、COVID-19(新型コロナ感染症)は容体が急変することでも知られる。ここで浮かぶのが「大統領選の候補者に何かあったら選挙はどうなるのか?」という疑問だ。

 ロイター通信は4日、「米大統領選の候補者が死亡したり大統領を務められない健康状態に陥ったりした場合に何が起こるのか」を題材にした記事を掲載した。

 記事によると、可能性としてまず考えられるのが11月3日の投票日の延期だ。米国憲法では選挙日の決定権は米国議会に与えられている。共和党は延期を希望すると考えられるが、民主党が多数を占める下院で延期が認められない可能性が高い。ちなみにこれまで大統領選の投票日が延期されたことはない。

 では候補者が投票日を迎える前に死亡したらどうなるのか。両党には別の候補者を立てる権利が与えられているものの、今回は間に合わない可能性が高い。今回は新型コロナ対策で郵便投票や事前投票をする人が多く、220万人がすでに投票を終えている。投票用紙に変更を加えられる期限が過ぎている州も多い。

 つまり、投票日が延期されない限り、候補者がどんな状況下にあったとしても両党は同じ候補者で戦わなければならないということになる。

カギを握る「議会の承認」

 12月14日に実施される選挙人による投票の前に候補者が死亡した場合はどうか。ここでも壁がある。基本的に選挙人は、一般投票で選ばれた人に投票するのが前提だ。そのためここで急に候補者を変更するわけにもいかない。

 次にこの選挙人投票は乗り切ったが、議会の承認を得る前に候補者が亡くなったらどうなるのか。記事によると、いずれにしても議会が1月6日に招集されるところまでは決まっているが、議会にどのような選択肢があるかまでははっきりしない。

 仮に議会が承認をしなかった場合、次の大統領は下院が実施する選挙人による投票で決まる。州ごとに代表1人が選挙人となる形で、現在は50州中26州が共和党の手中にあるため共和党に有利だ。ただ11月には下院議員のほぼ全議席の選挙も行われるため、現時点で結果を予測するのは難しい。

 議会が承認しなければ一般人が大統領に入れた票は無効となるが、下院議員に入れた票は生きるので、結果、国民の意を反映していることにはなる。

 最後に議会に承認されたものの、2021年1月20日の就任式前に死去した場合はどうなるか。その場合は副大統領が大統領の宣誓をすることになる。

 トランプ氏は早くて米国時間の10月5日にも退院すると見られている。同氏は選挙に負けた場合は「郵便投票の不正」を問う姿勢を見せていることから、いずれにしても混乱が予想される。今の段階では、トランプ氏の回復を待つしかない。

この記事はシリーズ「池松由香のニューヨーク発直行便」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。