「我々が目指すのはアンビエント(いつもそこにある)インテリジェンスだ。ここで、私が見た中で最もマジカルな応用事例が生まれようとしている」

 9月28日に米アマゾン・ドット・コムがオンラインで開いた新製品発表会。ハードウエアを担当するデーブ・リンプ上級副社長は開発コンセプトを“ディズニー風”に説明した。

 リンプ氏がいたのはディズニーランドで、傍らに米ウォルト・ディズニーの役員もいた。アマゾンの音声AI「アレクサ」を搭載したデバイスに「ヘイ、ディズニー」と話しかければ、ミッキーやグーフィーといったキャラクターたちが応えてくれる有料サービスを2022年から始める。

多様な家庭用デバイスが発表された。左下がミッキーマウスをイメージしたスマートスピーカー「Echo Show 5」向けスタンド
多様な家庭用デバイスが発表された。左下がミッキーマウスをイメージしたスマートスピーカー「Echo Show 5」向けスタンド

 9種類にも上る新製品のプレゼンターを務めたのは、上級副社長かそれに近いレベルの幹部たちだった。米家電量販店のベストバイや米マサチューセッツ工科大学(MIT)など、提携先の担当者も複数登場し、アマゾンが描く未来の姿を印象づけた。

 同社クラウド部門「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の新技術説明会に参加したことのある人なら、きっとこう思ったはずだ。「いかにもアンディらしい演出だ」と。

AWSを長年率いてきたジャシー氏(写真:AP/アフロ)
AWSを長年率いてきたジャシー氏(写真:AP/アフロ)

 アンディ・ジャシー氏、53歳。アマゾンの利益のほとんどをたたき出すAWSを長く率いてきた同氏は21年7月、ジェフ・ベゾス氏(57)の後を継いでアマゾンのCEO(最高経営責任者)に就任した。

 「ジャシー流」を語るにはまだ早いかもしれないが、創業者の手を離れたアマゾンが新体制の下でどこへ向かうのかが徐々に見えてきた。その姿を「経営体制」「ビジネスモデル」「立ちはだかる壁」の3つの視点から解き明かしていく。

 最も変化したのが経営体制だ。アマゾン社内には、創業間もないころに生まれた頭脳集団「Sチーム」がある。Sはシニアの頭文字で、会社の根幹や行く末を左右する重大な決断は、このチームのメンバーで話し合ってきた。上級副社長や副社長クラスになれば誰でも入れるというわけではなく、ベゾス氏の信頼を勝ち取った者だけが「入会」を許される。人数は徐々に拡大し、現在は30人弱にまで増えているようだ。

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