11月3日の米大統領選が2カ月後に迫ってきた。本シリーズ「米大統領選サポーターたちの横顔」では、共和党のドナルド・トランプ米大統領、または民主党のジョー・バイデン前副大統領を熱烈支持する人たちの横顔にスポットライトを当てる。

 彼らの生い立ちや信条をより多く見ていくことで、米国の民主主義が直面している課題や利点が見えてくる。

 トランプ氏を熱狂的に支持するYouTuberを取り上げた前回に続く今回は、バイデン氏の選挙戦を支援する団体を大学内に立ち上げたエリック・ワグナーさん(19歳)が主役だ。米国では18歳で選挙権が与えられるため、彼のような1990年代半ば以降に生まれた「ジェネレーションZ」も選挙戦の重要なカギを握る。

 なお本シリーズでは全編にわたり、彼らのリアルな声をお届けするため、事実かどうか確認のできない主張もあえて個人の意見として取り上げる。ご了承いただきたい。

【今回の主役】
バイデン氏支持団体を立ち上げた
エリック・ワグナーさん(Eric Wagner、19歳)
ニューヨーク州出身、イリノイ州シカゴ郊外にあるノースウエスタン大の2年生。2020年7月に同大でジョー・バイデン前副大統領の選挙戦を支援する団体「NU4Biden(エヌユー・フォー・バイデン)」を同級生のエディー・ウーさんと設立した。幼い頃から米国の歴史や政治に興味を持ち、大学で選んだ専攻は政治学、副専攻は歴史と法律という「政治オタク」。

中西部イリノイ州にあるノースウエスタン大学(NU)内にジョー・バイデン前副大統領を支援する団体「NU4Biden」を7月初旬に立ち上げたと聞きました。まずはその理由を教えてください。

エリック・ワグナーさん(以下、ワグナーさん):子どもの頃から政治や米国の歴史に興味があって、NU内にある民主党クラブでは会計を担当してきました。

 米国の大学にはこうした民主党や共和党のクラブがあって、僕が通っているNUにもあるのですが、学生が大統領選の選挙活動に直接、加われる組織というのはありませんでした。だから「作ったらクール!」と思ったのです。

 実は、NUの学生たちは本来、(穏健派の)バイデン氏よりもっとリベラルなんです。バーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員のような急進派の支持者が多い。

バーニー・サンダース上院議員(右)は4月に大統領選から撤退し、ジョー・バイデン前副大統領の支持に回った(写真:AP/アフロ)

 一方で、ドナルド・トランプ米大統領とバイデン氏が戦う今回の選挙が、いかに重要なものであるかも彼らは認識しています。「打倒トランプ氏」への熱意は相当高い。その熱意を生かせる場を作りたいと考えました。

ブッカー、ウォーレンを経てバイデン支持に

ご自身も、もともとはバイデン氏の支持者ではなかったのですよね?

ワグナーさん:はい。ニュージャージー州選出のコリー・ブッカー上院議員のファンで、彼が大統領選に出馬していたときは情熱的に応援していました。彼は僕のアイドル的存在です。

 ブッカー氏の演説は、いつも知的かつ情熱的、感情的で大好きなんです。彼に興味を持ち始めたときに彼のポッドキャストを聞いたのですが、それがたまたま(20年7月17日に死去した黒人公民権運動の指導者でもあった)ジョン・ルイス元下院議員との対談で、やり取りが素晴らしくて感動しました。

 だから、1月にブッカー氏が大統領選から撤退したときは本当にショックで……。その後は、サンダース氏やウォーレン氏を検討して、ウォーレン氏は僕の父親が大好きなこともあって彼女を支持していました。

 知的で、特に経済全体を見渡す力においては「天才」だと思います。でも、彼女も撤退を表明して、残るバイデン氏とサンダース氏の間で揺れていたのですが、スーパーチューズデーで一気にバイデン氏が盛り返して彼が候補になりました。

 そこで彼について改めて調べてみると、彼の政策はむしろ賛同できる内容であることに気づいたのです。

 2035年までにゼロエミッションを達成するために再生可能エネルギーなどのインフラ構築に2兆ドルを投資することや、ヘルスケア制度の充実など、これまで急進派が求めてきた内容を公約に取り入れています。

 サンダース氏自身がこう言っています。「もしバイデン氏が大統領になって公約を実現したら、米国史上でFDR(フランクリン・ルーズベルト元大統領)以来、最も革新的な大統領になる」と。

 複雑な経過はたどったものの、今ではバイデン氏を情熱を持って支持しています。

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