2020年11月3日の米大統領選まで75日を切った。8月17日から民主党の全国党大会が始まり、共和党大会も同月24日にキックオフする。共和党候補のドナルド・トランプ米大統領と民主党候補のジョー・バイデン前副大統領による攻防戦は、これからが佳境だ。

 両者が激突する討論会はもちろん、両党によって繰り広げられる大手メディアやSNS(交流サイト)を利用した票獲得争いは見ものだ。一方で、サポーターたちがSNSなどで独自に展開する草の根運動も見逃せない。全米で、黒人差別に反対する「ブラック・ライブズ・マター」など民衆の抗議運動が大きな影響力を持つ今、サポーターたちの活動は大統領選の行方を左右する重要な鍵を握る。

 今回から数回にわたり、両党のサポーターたちの横顔にスポットライトを当てる。

 なお、彼らのリアルな声をお届けするため、事実かどうか確認のできない主張もあえて個人の意見として取り上げる。ご了承いただきたい。

【今回の主役】
政治トピックを保守派視点で斬るYouTuber
クリス・コールズさん(Chris Kohls、40歳)
<span class="fontSizeM">【今回の主役】<br> 政治トピックを保守派視点で斬るYouTuber<br> クリス・コールズさん(Chris Kohls、40歳)</span>
マイアミ大学を卒業後、ハリウッドのテレビ業界に飛び込み「白人男性差別」を体験、2018年5月から「ミスター・レーガン」の名で保守派YouTuberに。民主党若手スターとして知られるアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員が「左派系団体がオーディションで選んだ“女優”だった」とする動画が280万回再生される大ヒットを飛ばし、保守派層で一躍有名になった。
コールズさんの<a href="https://www.youtube.com/channel/UCf1EWeQ7DefD6Ds3KdeQ-uQ/featured" target="_blank" class="textColRed">YouTubeチャンネル</a>。登録者数は約25万人
コールズさんのYouTubeチャンネル。登録者数は約25万人
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2020年2月下旬にメリーランド州で開かれた保守系政治団体によるイベント、保守政治活動会議(CPAC)でお会いして以来ですね。

クリス・コールズさん(以下、コールズさん):そうですね。お久しぶりです。

本日はまず生い立ちからうかがいたいのですが、小さな頃はどんな子どもだったのですか。

コールズさん:短気で怒りっぽい子どもだったと思います。両親はいずれもドイツ系なんですが、母方の父がスコットランド人。スコットランド人は短気な傾向があるので、その血を受け継いだのかもしれません(笑)。

現在のクリスさんからは想像も付きませんね。

コールズさん:本当に嫌な子どもだったと思います(笑)。ほかの子どもたちから嫌われていましたから。

 でも自分では、なぜそんなに嫌われているかが分かりませんでした。友達も1人いれば十分だと思っていました。よく昔のアメリカ映画に出てきますよね。自分はクールだと思っている男の子と「オタク」の2人組。まさにあんな感じで、私もいつもオタクの友達を引き連れていました。

 ところが高校に入ってから急に人気が出て……。自分では「やっと皆が自分のクールさに気づいた」と納得していました(笑)。どこから湧いてくるのか分かりませんが、そんな根拠のない自信を持っていました。

ご両親のしつけは厳しかったのですか。

コールズさん:日本では、しつけの厳しい家庭が普通なのかもしれませんが、米国では10人に1人の親が厳しいというくらいで、ほとんどの親が子どもを甘やかしています。その点、私の両親は厳しいほうだったかもしれません。

 父親は樹脂のブロー成型の会社を起こして成功し、家庭は途中から徐々に裕福になっていきましたが、私が幼い頃は貧乏でした。私は4人兄弟の長男で、下に弟が2人と妹がいます。

 1980年代~90年代の米国ですから、子ども部屋にテレビとニンテンドーのゲーム機があって当たり前の時代。でも私たちには与えられていませんでした。

 当時の子どもたちは両親にいろんな所に連れていってもらえるのも普通でしたが、我が家では、たまに連れていってもらえる映画でもお菓子は買ってもらえませんでした。母親が自宅で作ったポップコーンをバッグにしのばせてきて、それを映画館の中で渡されるのです。

ほほ笑ましいですね(笑)。

コールズさん:ちっとも! 紙の袋はいつも油でギトギト。最悪でした。

民主党の性質が「60年代に変わった」

コールズさん:でも、友達の家に遊びに行ったとき、部屋中に洋服が散らかって汚かったんです。友達が「うちの親はクールだろ? 散らかしても怒られないんだ」と言うのを聞いて、よくこう思っていました。「ちっともクールじゃない。汚いだけじゃないか」と。

 だからうちの両親に育てられたのは良かったと思っています。

ご両親も共和党なのですか。

コールズさん:父親は共和党を支持していましたが、母親の親族は民主党でした。

 私自身が保守的な考えを持つようになったのは、家庭の影響というより、小さな頃から見聞きしたことの積み重ねだったように思います。

 私が住んでいたオレゴン州セイラムは民主党支持の人が多かったのですが、私の目からは皆、ただ単に大麻を吸いたいから(民主党が基本的には支持している)大麻の合法化を支持するような人たちに見えました。

 働きたくないし、責任も持ちたくない。それなのに権利だけは主張する。怠惰なだけだと感じていました。

 母方の祖父も民主党支持者でしたが、現代の民主党の人たちとは異なっていたように思います。全ての人たちの憲法上の人権を守ろうとする、古いタイプの民主党支持者。でも60年代、マルクス主義が民主党の考え方であるという風潮が米国内で急速に広がり、民主党の中身が変わってしまったように感じます。

 その点、共和党は、以前から主張が変わっていません。米国の資本主義の枠組みで経済的成長を促し、国民全体を底上げしながら貧しい人たちを助ける。

 多くの人が勘違いしているのですが、実は多くの黒人コミュニティーから共和党は支持されています。そこにはこの基本的な考え方が寄与していると思います。

 左派の人たちは、何かにつけて私たち保守派を「人種差別者」と批判します。でも、正直に言って、私はこれまで40年間生きてきて、人種差別をする共和党支持者に会ったことがありません。40年間、会ったことがないのですから、「共和党=人種差別者」というのは一般的ではないと言えるでしょう。

続きを読む 2/3 「マイノリティーでないと認められない」ハリウッド

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