ソーシャル・ディスタンスなき日本の現状

 筆者が日米を行き来してみて今、身に染みて感じているのが日米のコロナ対策の違いだ。

 日本の水際対策への疑問については当コラムの「一時帰国してみたら……日本のコロナ水際対策は穴だらけ」で詳しく書いた。日本での自主隔離期間を終え、街に繰り出してすぐに感じたのが、東京都や大阪府などが実施する「緊急事態宣言」と、千葉県や神奈川県などが採用する「まん延防止等重点措置」の不可解さだった。

 とにかく違和感を抱いたのが人々の密集具合だ。米国に比べて人口密度の高い日本。致し方ないと言えばそれまでだが、歩道や駅の構内などを歩いていると、まだスペースに余裕があるのに、かまわずぶつかりそうになる距離(実際に肩がぶつかった人もいた)まで近寄ってくる人がたくさんいた。

 「なぜもっと端を歩かないの? なぜ近くに寄ってくるの?」と頭の中はクエスチョンマークだらけ。普通に歩くだけでぐったりした。

 電車に乗るのは比較的にすいている時間帯を選んだものの、席はいっぱい。立っている人もいるためソーシャル・ディスタンスを取るのは難しかった。この点は米国でも感染拡大が収まるにつれ同じ状況になっていたが、郊外とマンハッタンを行き来する電車では、一時的に減らしていた運行数を元に戻す対応をしていた。

 日本で最も驚いたのは、レストランやカフェなどの飲食店やドラッグストア、食料品店で中に入れる人数を全く制限していなかったことだ。マスクを着用している以外は、ほぼ通常通りの密集具合で飲食や買い物をしなければならなかった。

 日本にいる人にとっては当たり前かもしれないが、ニューヨークではこれまで店内へ入れる人数が制限されていたため、違和感しかなかった。

 例えば、筆者が日本に行く前、ニューヨークの飲食店では収容人数の50%の入店が許可されていたが、日本滞在中に75%まで緩和され、5月19日からようやく100%の入店が認められた。全く店内で飲食できない期間も長かったからか「なぜ? どうして?」と疑問が沸いた。